つくば市が「移動投票」実証実験へ 「やり方に無理が」議会は否定的(2024年6月26日『毎日新聞』)

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つくば市役所=茨城県つくば市で2019年7月23日、和田浩明撮影
 茨城県つくば市は25日、10月の市長・市議選の期日前投票で実施を目指す「オンデマンド型移動投票」の実証実験を8月6~9日に市内全域で行うと市議会総務文教委員会で説明した。市長から独立して選挙実務を担う選挙管理委員会は9月2日に実施の可否を判断する予定で、市議からは「期間が短く十分に検証できるか疑問だ」などと批判の声が上がった。

 

  投票箱を載せた車が事前に予約をした高齢者らの自宅を巡回する仕組み。市は、対象となる福祉施設に入居していない要介護3以上の高齢者や重度障害者を2000~2500人程度と予想している。7月1日に案内を送り、同4~18日に事前申請を受け付け、市職員が現地に出向き駐車スペースの有無や障害の度合いなどを確認する。その後改めて予約を受け付け、模擬投票を行う。選管は9月2日の協議で実施可能と認めれば即、事前受け付けを始める予定。
 自宅に駐車スペースがない場合は、近くの移動投票車まで別の車で送迎する。投票車2台、送迎車2台で巡回し、結果次第で本番は増台も検討する。
 ただ、市が1月に2地区限定で行った実証実験では、事前の現地調査は職員2人1組で1日5軒ほどしか回れず、投票車の巡回も1家庭に約1時間かかった。
 説明を受けた市議からは「投票機会の確保には賛同するが、このやり方には無理がある」「実証実験でできても選挙本番で利用者数が増えてパンクする可能性もある」「選管の本来の業務を圧迫するべきではない」などと批判的な意見が多く出た。
 市の担当者は「最終的に決めるのは選管なので、理解してもらえるよう実証実験に努めたい」と話した。【信田真由美】