焼肉店倒産、1〜6月は過去最多ペース 円安で食肉高騰(2024年7月4日『日本経済新聞』)

光熱費や人件費の上昇も響いた
焼肉店の倒産が相次いでいる。帝国データバンクによると、2024年1〜6月は20件で前年同期の約2.5倍になった。通年で過去最多だった19年を上回るペースだ。円安や米国産牛肉の生産減少で食肉価格が高騰し、収益を圧迫している。

1000万円以上の負債を抱えて法的整理した焼肉店を対象に調査した。個人営業など小規模店の閉店や廃業を含めれば、実際はより多くの焼肉店が事業を停止したという。

経営を直撃したのが食肉価格の高騰だ。農畜産業振興機構によると、米国産バラ肉(ショートプレート)の国内卸値は5月に前年同月比6割高の1436円となり、1993年の統計開始以来過去最高となった。輸入豚肉も円安で高騰している。

光熱費や人件費が上がり、運営コストは増している。物価高で消費者の節約志向が強まっていることも逆風だ。

ワタミなどの外食大手が焼肉店に参入した影響もある。大手の参入で小規模店が価格競争に耐えられなくなった。帝国データバンク京都支店は4月、「京都焼肉北山」を運営していたロックスが自己破産を申請する準備に入ったと発表した。「芸能人御用達の店」としてテレビや雑誌で紹介されたが、競争激化で売り上げが減っていた。

帝国データバンクの飯島大介氏は「店舗運営コストが増え、焼肉店も値上げは避けられない」と指摘する。「地元のブランド牛や特産品を使ったメニューで客単価を上げたり、待ち時間を短縮したりするなどの取り組みが求められている」とした。