自民党派閥の政治資金裏金パーティー問題など、これまで数々の政治スクープを他紙に先駆けて報じてきた「しんぶん赤旗」に英誌「エコノミスト」が注目。その一方で権力におもねり、政治の責任を追求しようとしない日本の大手メディアの姿勢に疑問を投げかける。
日本では2024年1月に通常国会が召集されて以来、主にあるひとつの問題が議論されつづけてきた。
大手が触れたがらない問題をスクープ
「赤旗」の購読者数は1980年に350万人に達したものの、現在は85万人にまで下落している。それでも同紙は2022年11月、安倍派など5派閥の政治団体がパーティーの収入を政治資金収支報告書に記載していないと、どこよりも早く報じた。
政府資料の入念な調査を経て最初にスクープを出した記者の笹川神由は、「こんな騒ぎになるとは思っていませんでした」と語る。笹川に協力した神戸学院大学の上脇博之法学部教授は、本件を刑事事件として検察に告発している。
「赤旗」の報道が、社会に大きなインパクト与えるのは今回が初めてではない。2013年にはいわゆる「ブラック企業問題」を調査し、過酷な労働環境が蔓延していることを世に知らしめた。これにより日本政府は対策に乗り出し、企業に長時間労働などを見直すよう促した。
検察の捜査を受けた安倍元首相は起訴には至らなかったものの、2020年の辞任までこのスキャンダルに悩まされ続けた。
Economist