<機関車のようにベースを駆け抜け、スイングの速さは飛行機み…(2024年6月22日『』-「筆洗」)

 <機関車のようにベースを駆け抜け、スイングの速さは飛行機みたい。帽子を飛ばして三塁からイーグルのようにホームへ向かう>
▼米国のリズム&ブルースバンド、ザ・トレニアーズの「セイ・ヘイ」(1954年)。ある野球選手のことを歌っている
▼野球が米国の国民的娯楽として今以上の輝きを放っていた時代、人気選手を応援する歌がよく作られた。歌詞の通り、強打、俊足、名守備を誇った偉大な選手が亡くなった。ニューヨーク(現サンフランシスコ)・ジャイアンツで活躍したウィリー・メイズさん。93歳
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▼660本塁打に3293安打。古き良き時代の選手の訃報に米国民は悲しみに暮れているだろう。メイズさんが打って、走った時代は米国が繁栄と豊かさを謳歌(おうか)した「黄金期」とも重なる
▼やはり懐かしの漫画、チャールズ・シュルツさんの『ピーナッツ』を思い出す。おなじみのチャーリー・ブラウンが単語のスペルのコンテストに出場する。問題は「MAZE(迷路)」の正しい綴(つづ)り。チャーリーはつい「MAYS」と答えてしまう。憧れのMAYS(メイズ)選手の名が浮かんでしまった
▼黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンは黒人差別廃絶に熱心に見えない同じ黒人のメイズさんに少々やきもきしていたところもあったそうだ。言葉よりその人はプレーで黒人の地位向上を目指したのだろう。
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