《記者会見 詳細》
岸田総理大臣は国会の会期末を前に、21日午後6時ごろから総理大臣官邸で記者会見を行いました。
憲法改正「前に進めるべく粘り強く取り組んでいく」
総裁としての3年弱「今の時点での評価は適切ではない」
記者団から「ここまでの党総裁としての3年弱を振り返り、自身で点数を付けるとすれば何点か」と問われ「今の時点で終わるとしたなら評価ということもあるだろうが、道半ばで重要な課題が山積しており、先送りできない課題がたくさんある。結果につなげることで評価が生まれると信じているので、1つでも2つでも結果を出すよう努力することが重要だ。今の時点で評価するのは適切ではないのではないか」と述べました。
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規正法改正「『まだまだ不十分だ』と指摘 謙虚に受け止め」
岸田総理大臣は、記者会見で「今回の政治資金規正法の改正で国民の信頼を取り戻せたと考えるか」と問われたのに対し「これまで積み上げてきた取り組みの1つの大きなステップだとは思っているが、国民から『まだまだ不十分だ』という指摘があることは謙虚に受け止めたい。政治改革と信頼回復への道のりはまだ道半ばで、引き続き真摯に(しんし)議論を続けていかなければならない」と述べました。
首相の資質「転換点や変化に対する大局観持つことが大事」
秋までに行われる自民党総裁選挙に関連して総理大臣や総裁に求められる資質を問われると「国の内外で歴史的な転換点にあり、経済や社会を維持していくために大きな課題に直面している。転換点や変化に対する大局観を持つことが大事だ」と述べました。
その上で「難しい課題には、さまざまな議論が起き、反対も予想される。難しい判断に向けても勇気と覚悟を持って結論を出していく決断が求められる。強い覚悟や責任を持つことが大事だ」と述べました。
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電気・ガス料金補助 3か月追加実施 ガソリンの補助金も継続方針
今の経済情勢については、力強い賃上げの動きなど、長く続いた「デフレ型経済」から「成長型経済」への「移行」の兆しが明確になってきていると強調しました。
その一方で「物価水準が高止まる中で『移行』に取り残されるおそれがある方々へのきめ細かな支援が必要で、二段構えの対応をとっていく。第一段は早急に着手可能で即効性のある対策、第二段は秋に策定を目指す経済対策の一環として講じる」と述べました。
そして第一段の対策では、「酷暑乗り切り緊急支援」として電気やガス料金への補助をことしの8月から3か月間、追加で実施するほか、現在行っているガソリン価格を抑えるための補助金も、年内に限って継続する方針を表明しました。
その上で、一連の措置による消費者物価の押し下げ効果を、月平均で0.5ポイント以上とするべく検討していきたいと説明しました。
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年金生活者や低所得者世帯を対象に給付を検討
エネルギー 産業構造など総合的に捉えた国家戦略 年内に策定
電気・ガス料金やガソリンへの補助は「脱炭素」の流れに逆行することもあり、いつまでも続けるべきものではなく、日本のエネルギー構造のぜい弱性を克服していかなければならないとして、年内をめどに供給や産業構造などを総合的に捉えた国家戦略の策定を進める方針も明らかにしました。
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「政治家の責任強化など盛り込んだ規正法改正 実現」と強調
そして「政治資金制度への信頼を高め、民主主義の基盤をより強固なものにするべく、政治家の責任強化や政治資金パーティーの購入者の公開基準の引き下げ、政策活動費の改革を含む政治資金規正法の改正を実現することができた」と強調しました。
その上で、改正法で検討事項とされた「政策活動費」の透明性強化や支出をチェックする第三者機関について具体化を急ぐ考えを示しました。
岸田総理大臣は「政治改革に終わりはない。選挙制度や国会での議論のあり方などを含め課題は山積しており、各党各会派と真摯(しんし)な議論を続け、民主主義を守るための不断の改革に取り組む」と述べました。
一方、憲法改正をめぐっては、おとといの党首討論で立憲民主党の泉代表に条文の起案に向けた議論に応じるよう求めたことに触れ「賛意を得られず残念だ」と述べるとともに、時代の要請に応えて改正の機会を国民に提起するのは政治の責任だと強調しました。
電気・ガス料金の補助 これまでの経緯
政府による電気・ガス料金への補助は、ロシアによるウクライナ侵攻で燃料価格が高騰したことを受け、去年1月の使用分から始まりました。
導入した当初は、電気料金について、1キロワットアワーあたり、家庭向けでは7円、企業向けでは3.5円を補助し、補助額を縮小しながらも延長を繰り返してきました。
政府はことし3月、燃料価格の高騰が落ち着いたことを理由に5月の使用分までで、電気・ガス料金の補助金をいったん終了すると発表していました。
経済産業省は、補助金が終了したあとも電気・ガス料金が急騰し、国民生活に大きな影響が出る場合は、機動的に対応する方針を示していて、わずかな期間で補助金が復活する形です。
こうした政府の補助金に対しては、円安などを背景に物価高が続く中、家計の負担軽減につながるという見方がある一方、巨額の予算を必要とし、財政規律を損なううえ、消費者の省エネ意欲をそぐという指摘も政府内などにあります。
実際、これまでに電気・ガス料金の負担軽減措置として計上された予算額は3兆7490億円と巨額の規模に上っています。
また、あわせて年内までの継続が発表されたガソリン価格を抑えるための補助金についても、財政負担に加えて、脱炭素の流れに逆行するという批判も根強く、政府は国民生活への配慮と財政規律のバランスをどう図っていくかが問われています。