「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」総会に出席(2024年6月21日『全日本ろうあ連盟』)

 「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」総会が2024年6月18日(火)に開催されました。連盟からは久松事務局長、堀米理事が出席しました。

 各省庁よりバリアフリーユニバーサルデザインへの取り組みと関連予算の説明が行われ、内閣府からは本年4月に「障害者差別解消法」の合理的配慮の提供義務が事業者の努力義務から法的義務へと改正された件についての説明と周知・啓発にかかわる取り組みの説明、障害を理由とする差別に関する相談窓口事業の紹介(つなぐ窓口)がありました。
 その後、各障害者団体からの要望説明がされ、連盟は久松事務局長より要望書から特に、『ろう者の司法権の保障』と東京2025デフリンピック開催を控えて『情報アクセビリティ、コミュニケーションバリアフリーな環境整備の促進』について要望のポイントを説明しました(提出した要望書は下記参照)。
 特に、7月3日に最高裁判決を控える「旧優生保護法裁判」の傍聴者に対する手話通訳の公費による配置が決定したことについても触れ、お礼を述べました。
 他の障害者団体からは、障害者権利条約の総括所見を踏まえて障害者施策のさらなる向上と差別の定義の議論を進める事、駅の無人化やみどりの窓口閉鎖が進んだことによる障害者への弊害、車いす用駐車場スペースへの健常者駐車を法令によって禁止する要望など、それぞれの要望が出されました。

総会の様子
久松事務局長、堀米理事

連本第240186号
2024年6月18日

自由民主党
ユニバーサル社会推進議員連盟
 会 長  石破 茂 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石橋 大吾

要 望 書

 日頃より、私どもきこえない・きこえにくい人の社会参加促進にご理解とご支援を賜り厚く御礼申し上げます。障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法、障害者差別解消法改正、障害者総合支援法の見直し、障害者権利委員会から出された総括所見等を受け、さらに社会参加に関する施策を充実させるべく、下記の通り要望します。

1.「手話言語法」の制定を早急に進めてください。
<説明>
 きこえない・きこえにくい人が手話言語を用いて、きこえる人と対等に社会参加をしていくためにも、「手話」を言語として規定し、手話言語を獲得し手話言語で学べるようにするための環境整備と手話言語を研究・普及・保存していくことを保障するための法律「手話言語法」の制定を早急に進めてください。

2.ろう者の司法権の保障を進めてください。
(1)きこえない・きこえにくい人が裁判所の傍聴を希望する場合、裁判所の責任で情報保障を行なってください。
<説明>
 裁判は原則公開で傍聴は誰でも自由にできることになっていますが、きこえない・きこえにくい人は情報保障なしでは傍聴できません。裁判所における合理的配慮の提供は裁判所の責任でおこなってください。きこえない・きこえにくい人が、傍聴を希望した場合、裁判所の責任で手話通訳・筆記通訳者配置などの配慮を求めます。傍聴者が多い時は事前に抽選券が交付されますが、この場合も同様の配慮が必要です。当事者が情報保障の不足で困惑することがないよう、情報保障の実施の際は事前に当事者と一緒に確認できる場を設けてください。

(2)裁判所(法廷内)における情報保障にかかる費用は裁判所負担としてください。
<説明>
 きこえない・きこえにくい人が関わる民事裁判の場合、現状では裁判所の費用負担による情報保障はなく、きこえない・きこえにくい当事者が敗訴した場合、情報保障にかかった費用はきこえない当事者の負担になる事例がありますが、敗訴・勝訴にかかわらず裁判所の費用負担による情報保障を行ってください。民事訴訟法に、障害のある訴訟当事者に対する民事訴訟手続における合理的配慮にかかる費用は国の負担とする旨の規定を設ける(民事訴訟法第61条の訴訟費用に含めないものとする。)等の対応を求めます。

3.緊急災害時の放送について、ろう者への情報保障の強化をはかってください。
(1)緊急災害時におけるローカル番組を含むテレビ番組は、臨時の番組編成を行う場合であっても、必ず手話通訳と字幕を含めた情報発信ができるようにしてください。
<説明>
 緊急災害時では臨時の番組編成において手話通訳や字幕のない情報が断続的に流れますが、情報がリアルタイムに取得できないと多くのきこえない・きこえにくい人が現況を把握出来ない状況に陥ります。
 緊急災害発生時こそ、手話ニュースや緊急災害時の放送番組に手話通訳・字幕を挿入した放送を必須とするよう、国を挙げた政策に取り組んでください。

4.東京2025デフリンピック開催に向けて、情報アクセシビリティ、コミュニケーションバリアフリーな環境整備を進めてください。
(1)公共交通機関(電車、バス、地下鉄、駅構内)、宿泊施設、飲食施設、公共施設、放送・通信における情報アクセシビリティ、コミュニケーションバリアフリーな環境を整備して、安心して住みやすい社会を構築してください。
<説明>
 昨年、情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が制定されましたが、予算措置が十分ではなく、国民や全ての自治体に浸透している状況ではありません。来年11月に東京にてデフリンピックが開催されますが、現状では国内外から来られるきこえない・きこえにくい人が安心して暮らせる状況にありません。
 ホテルなどの施設や交通機関などに手話言語でコミュニケーションできる、また手話言語で情報を取得・発信できる環境整備を求めます。