全国初、公費負担で法廷内に手話通訳を配置 7月の旧優生保護法訴訟判決で最高裁(2024年6月17日『東京新聞』)

優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、全国の障害者らが国に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁は17日、7月3日の大法廷判決(裁判長・戸倉三郎長官)で、傍聴人向けの手話通訳者を公費負担で配置すると公表した。多くの聴覚障害者の傍聴が見込まれるためで、全国の裁判所で初めての対応。法廷内の大型モニターに判決の概要を映す対応も行う。
◆多くの聴覚障害者が見込まれる傍聴席に配慮
 最高裁によると、傍聴人向けの手話通訳者は廷内2カ所に配置する。また、最高裁として初めて、計6台の大型モニターに裁判長の発言や判決理由の概要を映す。最高裁は「全国で多数提起された旧法関連の訴訟の重要論点について統一的判断を示すため、(障害のある)傍聴人を含む国民に広く説明することが必要と判断した」としている。
 傍聴人向けの手話通訳者は、5月29日の弁論でも配置されたが原告側が手配しており、原告側や障害者団体などが公費負担での配置を求めていた。聴覚障害がある原告向けの手話通訳者は、民事訴訟法の規定に基づき、弁論と同様に当事者側が手配する。
◆「今回は前進。地裁、高裁への波及効果を期待」
 全国の障害者団体などでつくる「優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)」の藤井克徳共同代表は、裁判所による傍聴人向け手話通訳者の配置について「前進だと受け止めており、各地の地裁、高裁への波及効果を期待している。通訳者がいる恩恵は裁判官も受けており、当事者向けの通訳者も公費で手配できるように規定を見直す時だ」と話した。(太田理英子)
キャプチャ
最高裁大法廷(一部画像処理)