45年前の大崎事件で無実を訴えて、再審=裁判のやり直しを求めている原口アヤ子さんの弁護団が16日、会見を開き、鹿児島県警の内部文書に捜査書類の廃棄を促しているととれる表現が記載されていたことについて、厳しく批判しました。
1979年に大崎町で当時42歳の男性が遺体で見つかった大崎事件をめぐっては、今月15日に97歳を迎えた原口アヤ子さんが殺人罪などで服役しましたが、一貫して無実を訴えています。
一方、捜査を行った県警は、去年10月の捜査員向けの内部文書の中で「検察庁に送っていなかった書類などが露呈すると、都合の悪い書類だったと疑われかねないため、不要な書類は適宜廃棄する必要がある」などとし、廃棄を促していると受け取れる記載があったと明らかにしました。
この文書について弁護団は、16日の会見で抗議の声明文を読み上げ、厳しく批判しました。 (弁護団 鴨志田祐美事務局長)
「無実を晴らす機会を、さらに検察による警察本部のこの不適切な対応によって奪われるということで、許し難い暴挙だ」 弁護団は、声明文を県警、鹿児島地検、最高裁判所に提出するということです。
大崎事件弁護団が抗議“証拠の廃棄指示する極めて深刻な問題”(2024年6月16日『NHKニュース』)
鹿児島県警が捜査書類の廃棄を促すかのような内部向けの文書を作成していたことについて、97歳の女性が再審=裁判のやり直しを求めている、いわゆる「大崎事件」の弁護団が、「証拠の廃棄を指示するものとして極めて深刻な問題だ」として抗議する声明を出しました。
鹿児島県警察本部の元生活安全部長による情報漏えい事件で、元部長が札幌市のライターに向けて郵送した文書の中には、県警が去年10月、内部向けに作成した「刑事企画課だより」が含まれ、関係者によりますと、この文書には「再審や国家賠償請求訴訟などで捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません」などとして、捜査書類の廃棄を促すかのような記載があったということです。
これについて、45年前、鹿児島県大崎町で義理の弟を殺害した罪で服役した原口アヤ子さん(97)が、無実を訴えて再審=裁判のやり直しを求めている「大崎事件」の弁護団が16日、記者会見を開き、声明を出しました。
これまでの再審請求では、「証拠はすべて開示済み」とされたものの、弁護団の求めによってネガフィルム18本が開示された経緯があり、声明では「あるべき重要な証拠がいまだに開示されず、証拠が意図的に隠されていたり、廃棄された可能性があるという強い疑問を否定し得ない。無罪を導く証拠の廃棄を指示するものとして、極めて深刻な問題で強く抗議する」としています。
大崎事件弁護団の鴨志田祐美弁護士は「無罪の証拠が紛れているという可能性が十分にある中で、組織的に『捨てろ』という指示がされていたということは、われわれにとっては無実を晴らす機会を奪われるということで許しがたい暴挙だ」と話していました。