注目度が高い小池知事の出馬会見は民放の情報番組などでも放送された。公約に対する質問の後、フリーランスの記者から「昨日、朝堂院大覚さんが…」と質問が飛んだ。小池知事はキョロキョロと周囲に視線を送った後に「すいません、ありがとうございます」と軽くあしらい、別の記者が「いつも勝負服のカラーで緑色の服を着られますけれども…」と違う質問をかぶせると、そちらには「メリハリつけた、そのような対応をしていきたいと思っております」と笑顔で答え、会見は終了となった。
朝堂院大覚さんとは、小池知事の父と親しかった実業家。11日に会見を開き、小池知事のカイロ大学卒業という学歴について「2年の期末試験を受けてます。ただ、点数を取れなかったから落第。それは事実。中退と言えば本当なんです」などと話していた。
学歴詐称疑惑の真相は不明だが、X(旧ツイッター)では「逃げた!逃亡した!」と、小池知事の対応に疑問の声も。また、勝負服について尋ねた記者にも「知事に助け舟を出してどうすんの」「忖度メディアも酷すぎる」などと批判が出ていた。
「小池氏は、もともと都議会定例会が開会する5月29日に立候補を表明すると見られていました。ですが、表明するのは、約半月遅れの6月12日に。遅れた理由は、5月27日に蓮舫氏が出馬表明したからですよ。小池氏は想定外の“宿敵”の出現によって、自身の出馬表明時期を慎重に検討せざるをえなかったんです」(政治担当記者)
その前日の6月11日、都庁で意外な人物が緊急の記者会見を開いた。朝堂院大覚氏だ。
「朝堂院氏は、大阪にある空調設備工事会社・ナミレイの元会長です。1982年、高砂熱学工業に対して業務提携を強要したとして逮捕され、懲役2年執行猶予4年の判決を受けています。ナミレイ会長時代はパレスチナ解放機構のアラファト議長の来日に尽力し、法曹政治連盟総裁に就任するなど、“最後のフィクサー”の異名でも知られていました」(社会部記者)
朝堂院氏は、小池知事のカイロ大学卒業という学歴が詐称ではないかという疑惑について、会見で「真実を述べて、嘘を取り消し、出直してくれ」と語った。両者の間には、意外な接点があった。
「もともと、小池さんの父親の勇二郎氏は、エジプトから石油を輸入する会社をやっていた。ところが、会社が倒産してしまう。その会社の倒産整理を引き受けたのが、私だった。私は勇二郎氏に『油を購入していたエジプトに行ったらどうだ』と提案し、私が資金援助して、カイロに日本料理店を開いた。当時、小池(百合子)さんは関西学院大学の1年生だったが、会社が倒産して学費が払えなくなったので、同大学を退学、父親ら家族と一緒にカイロに渡ったのだ」(朝堂院氏・以下同)
しかし、小池知事は3年生に進級できなかったというのだ。
「小池さんはアラビア語がしゃべれないし、書けない。だから、アラビア語だけの試験は、おそらく白紙だったと思う。落第して3年生には上がれなかったんだよ。それは、小池さんのルームメイトが克明に本で説明していたとおりだった。結局、小池さんはカイロ大を中退したんだ」
カイロ大を中退した小池氏は、「カイロで空手の雑誌を創刊したいから資金援助してほしい」と、朝堂院氏に頼んだという。これに対し朝堂院氏は400万円を用立てた。
「空手雑誌は1年ほどやっていたが、『空手は儲からない』といって、やめてしまった。それで、小池さんは東京に戻るというので、神田にある私の事務所でしばらく働いてもらうことにしたんだ。大学に通いながら、空手雑誌を作っていたわけじゃない。大学を中退して次の仕事をしたいというから資金を出した。だから大学を卒業なんてしていないのだ」
朝堂院氏が最後に小池知事に会ったのは、20年ほど前だったという。
「久しぶり、ご無沙汰ですと言って、立ち話をした程度だった。それ以来、会っていない」
これまで、学歴詐称問題について小池知事は「カイロ大が卒業を認めている」として、詐称疑惑を突っぱねてきた。あえてこのタイミングで朝堂院氏が会見をおこなったのは、「政治家が嘘をつきまくると、国が亡びる」という朝堂院氏の思いからだったという。
はたして小池知事は、会見内容をどう受け止めるのか――。