【速報】「また段々悪い顔になってきてるよ」無罪確定のプレサンス元社長国賠訴訟 異例の「取り調べの録音録画公開」巨額横領事件で検察官を証人尋問 捜査時の実態解明なるか(2024年6月11日『MBSニュース』)

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無罪が確定している山岸忍さん(61)
学校法人の土地取引などをめぐる巨額横領事件で、大阪地検特捜部に逮捕・起訴されたものの無罪が確定した「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんが、国に賠償を求めている裁判。6月11日、取り調べ録音録画の一部の法廷での公開と、当時の特捜部検事の証人尋問という、最大の山場を迎えました。
特捜部の立証の柱は“恫喝的” “脅迫的”場面もあった取り調べの末に得られた元部下の供述…
不動産大手「プレサンスコーポレーション」の社長だった山岸忍さん(61)は2019年12月、大阪の学校法人の経営権や土地取引をめぐる巨額横領事件に関与したとして、業務上横領の罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴されましたが、2021年11月に無罪が確定しました。
特捜部が山岸さんの関与を立証するための柱としたのは、山岸さんの当時の部下の供述でしたが、その取り調べは、検事が大声で怒鳴る・机をたたくなどの恫喝的な場面や、脅迫的な発言もあったものでした。
大阪地裁(坂口裕俊裁判長)は2021年10月の無罪判決で、そうした取り調べが「真実とは異なる内容の供述に及ぶ、強い動機を生じさせかねない」ものと批判。供述は信用できないと判断しました。
「一大冤罪事件で多大な苦痛・損害を被った」国に賠償求めて提訴
無罪を勝ち取ったものの保釈まで約250日間も拘置所に勾留され、社長職も失った山岸さんは、2022年3月、「重要な客観的証拠をあえて無視し、関係者を脅迫・恫喝するなどして供述を強要した結果生じた一大冤罪事件。多大な肉体的・精神的苦痛、経済的損害を被った」として、国に対し7億7000万円の賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。
その国賠訴訟が6月11日、▽部下への取り調べの一部音声の法廷での公開 ▽その取り調べを担当した当時の特捜部検事の証人尋問 という最大の山場を迎えました。
「あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ」「損害を賠償できます?10億、20億じゃ済まないですよね」
法廷で公開された録音録画:当時の特捜部検事が山岸さんの部下に行った取り調べ(2019年12月)
「あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ」
「今回の風評被害とか受けて、会社が非常な営業損害を受けたとか、株価が下がったとか言うことを受けたとしたら、あなたはその損害を賠償できます?10億、20億じゃ済まないですよね。それをしょう(背負う)覚悟で今、話をしていますか?」
「だからあなたの顔が穏やかになりきっていないと見えるんですよ」
「また段々悪い顔になってきてるよ」
当時の主任検事らも証人として出廷へ
11日午後には、山岸忍さん自身の取り調べを担当した検事も出廷する予定です。この検事は、山岸さんから弁護人との面会内容を訊きだそうとしたり、「私がでも弁護士やったら、絶対黙秘なんか言わへん」など、取り調べで黙秘権を侵害するかのような発言をしたりしていました。
また、6月14日の証人尋問には、▽別の関係者に対し「山岸さんの関与を認めないと、自身が主導的な立場だったことになり量刑が重くなる」旨を伝え、山岸さん関与を認める供述を引き出した検事(ただしこの検事は、その関係者が供述の撤回を申し出たことを受け、「山岸さんの逮捕は待った方がいい」と当時の主任検事に進言した)
▽同検事の進言を受けたものの、「撤回前の供述のほうが信用できる」などと判断し、山岸さん逮捕を決断した主任検事が出廷する予定です。