出馬の動きとの関連は不明だが、この日午前、萩生田光一会長が自民党東京都連の会合後、党本部で報道陣の取材に「出馬するなら支援する方向だ」と述べた。4月の衆院3補欠選挙に加え地方選でも公認、推薦候補が黒星続きの自民は独自候補を擁立できず。勝ち馬に乗って不戦敗だけは回避したい考えだ。
小池氏にとっても自民の組織票は魅力的。都連関係者は「支援方針を決めたことで、都内で100万票以上とも言われる組織票を小池氏により回しやすくなった」と話す。これまで選挙に強いと言われてきたが、4月の目黒区長選や衆院東京15区補選、5月の都議補選(目黒区)で、応援した候補が3連敗し「神通力に陰りが見える」との声も出ている。組織票を確保できれば、大きな助けとなる。一方、支援を受ければ、裏金問題でイメージダウンの自民と組んだと思われて票を失う恐れもあり、都民ファ幹部からは「表立った動きはせず、票だけ回してほしい」との声も漏れる。
そんな思いをくんだ?自民の秘策として浮上しているのが「確認団体」による支援だ。確認団体とは、特定の候補者を支援しない形で選挙管理委員会に届け出た政治団体。選挙期間中、一定の制限下でビラの配布や街頭演説などができる。自民党本部から推薦はせず、確認団体を挟み政党色を薄めて側面支援する。小池氏のシルエットや、シンボルの緑色を多用して活動する可能性もある。水面下では各種支援団体へ働きかけ、組織票を回すなど“ステルス支援”を行うとみられる。萩生田氏は、支援の在り方に関し「知事サイドの考えもあると思う。執行部に一任の方向で了解いただいた」と説明した。
ただ、政党色を薄めても同一視される懸念は残る。有力な対立候補と目される立憲民主党の蓮舫参院議員は、小池氏と自民の関係を印象づけるかのように、街頭演説で「裏金議員を生んだ自民党が支援する人に絶対負けたくない!」などと批判を繰り返している。
小池氏はこの日「各所からさまざまなエールを頂いている。しっかり受け止めていきたい」と述べるにとどめた。自民との関係をどんな形にして都知事選に臨むか注目される。