保護すべき外国人を追い返すようなことは許されない。
特に問題なのが、難民認定申請を事実上、2回までに制限することだ。3回目以降は強制送還が可能になる。
滞在を続けるため、審査中は送還されない制度を乱用するケースがあるとの理由から、規定が設けられた。
しかし、日本は欧米に比べて認定のハードルが高く、何度も申請を繰り返し、ようやく難民と認められることもある。
人命に関わる重大事である。迫害の恐れがある国への送還は国際ルールによって禁じられている。
申請者の訴えを踏まえて、審査を尽くす必要がある。回数制限を超えたからといって、機械的に送還するようなことがあってはならない。
国会審議では、審査の公正さに疑問が呈された。手続きの透明性を高めたり、申請者の出身国の最新情報を集めたりすることを求める付帯決議がなされた。
法改正のきっかけは、国外退去処分を受けても帰国しない人が、入管施設に長期間収容されている問題がクローズアップされたことだった。
人権上の批判を受け、改正法では、「監理人」の下で社会生活を送ることができる「監理措置」が導入された。
ただ、監理人には入管庁への報告義務が課される。引き受ける支援者や弁護士は少ないとの調査結果もあり、機能しないのではないかと指摘されている。
外国人の人権を保障するうえで、改正法は多くの問題を抱えている。早急に見直しの検討を始めるべきだ。