高齢者の医療や介護などについて意見交換する岸田文雄首相(左)=東京都豊島区の豊島区役所(代表撮影)
出生数は過去最少の72万7277人で、出生数に影響する婚姻数は47万4717組と戦後初めて50万組を割った。
極めて深刻な事態であるのは論をまたない。少子化対策関連法が5日の参院本会議で可決、成立した。児童手当や育児休業給付の拡充、親の就労に関係なく子供を預けられる「こども誰でも通園制度」の実施などが盛り込まれている。
経済不安を抱え、子供を産みたくてもためらう人は少なくない。若年層の雇用の安定と所得の向上が急務だ。資金面の支援も必要である。子育ての負担が女性に集中する傾向は依然あり、仕事と育児が両立し得る環境を整えることも重要だ。対策を着実に実施し、結婚や出産をあきらめない社会にしたい。
ただし、これらの政策を行うだけでは不十分だ。同時並行で進めねばならないことがある。人口が減っても、治安を守りながら、豊かさを享受できる日本を築き上げることだ。
岸田文雄首相には人口減に対応した国づくり、地域づくりを政権全体の重要課題に位置付け、人口目標とともに将来像を示してもらいたい。
人口が減っても高齢者の増加は当面続く。その一方で現役世代は減少し人手不足に拍車がかかるのは避けられない。