自民案は、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」へ引き下げる▽使途公開が不要な「政策活動費」について、10年後に領収書などを公開する▽政治資金収支報告書の記載について国会議員本人がチェックしたことを示す「確認書」の作成を義務付ける――などの内容。立憲民主党などが求めた企業・団体献金の禁止や、議員が会計責任者と同等の責任を負う制度の導入などは盛り込まれなかった。
規正法改正を巡っては、自民、公明両党が大枠で合意したが、パーティー券の公開基準額と、政策活動費の使途公開の条文化で折り合いが付かず、自民が改正案を単独で提出。与党案がまとまらないまま、衆院政治改革特別委での審議に突入する異例の展開となった。
与野党による法案の修正協議で、自民は原案で「10万円超」としていたパーティー券の公開基準額の「5万円超」への引き下げや、政策活動費の領収書などの10年後公開を新たに盛り込むことで公明、維新と合意。修正した改正案を提出していた。【川口峻】
検討・検討・また検討」…自民改正案に野党「単なる先送り」、過去にも実現しなかったケース多く(2024年6月6日『読売新聞』)
衆院政治改革特別委員会で5日に可決された自民党の政治資金規正法改正案は、本則に政治資金パーティー券購入者の公開基準額の引き下げなどを明記した一方、改革内容の多くは検討事項として付則に列挙した。野党は付則部分について、実現性に乏しいとして批判を強めている。
本則に盛り込まれたのは、政治資金パーティー券購入者の公開基準額について、現行の「20万円超」から「5万円超」へ引き下げることや、政党から議員に支給される「政策活動費(政活費)」について、「項目別の金額」や「年月」を政治資金収支報告書に記載することなどに限られた。
政活費の使途を示す領収書などの10年後の公開や、政活費の支出を監査する第三者機関の設置などはいずれも付則に入り、「具体的な内容について検討する」などとした。
岸田首相は5日の衆院政治改革特別委で第三者機関について、「なるべく早期に設置できるように議論に貢献していく」と説明した。立憲民主党の岡田幹事長は「年内に全部準備を終えることを約束してほしい」と求めたが、首相は「簡単な議論ではない」と難色を示し、岡田氏は「単なる先送りだ」と批判した。
過去の法案でも付則に盛り込まれた項目が結局、実現しなかったケースは多い。
1994年に当時の細川首相と河野洋平自民党総裁が合意して成立した改正政治資金規正法では、付則に企業・団体献金を5年後に見直すことが盛り込まれた。しかし、5年後の見直しで禁じられたのは、資金管理団体への献金にとどまった。
政治資金規正法の改正をめぐり、自民党が公明党と日本維新の会の主張を踏まえて新たに修正した法案は、衆議院本会議で、3党などの賛成多数で可決されました。法案は7日、参議院で審議入りし今の国会で成立する見通しです。
自民党の法案では、いわゆる「連座制」導入のため収支報告書の「確認書」の作成を議員に義務づけるほか、パーティー券の購入者を公開する基準額を「20万円を超える」から「5万円を超える」に引き下げるとしています。
また、党から支給される「政策活動費」について項目ごとの使いみちや支出した年月を開示し10年後に領収書などを公開するとしています。
6日の衆議院本会議では採決に先立ち討論が行われました。
自民党の山下元法務大臣は「自民党の法案は各党・各会派からの提案を真摯(しんし)に受け止め、事態の再発を防止するとともに政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制しないようにしながら、政治活動の自由と政治資金の透明性を確保する内容だ」と述べました。
賛成した日本維新の会の浦野靖人氏は「一定の納得ができる修正ができたことから賛成の立場をとるがすべてを是としたわけではない。極めて小さな変化であり国民の信頼を取り戻すにはまったく不十分だ」と述べました。