政治資金規正法改正案、衆院通過 企業献金禁止は盛り込まれず(2024年6月6日『毎日新聞』)

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自民党が提出した政治資金規正法改正案を賛成多数で可決した衆院本会議=国会内で2024年6月6日午後2時1分、平田明浩撮影
 衆院は6日の本会議で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて自民が提出した政治資金規正法改正案を自民、公明党日本維新の会などの賛成多数で可決した。
 法案は6日に参院に送付され、7日に参院政治改革特別委員会で審議入りする予定。自民は23日までの今国会会期中の成立を目指す。
 自民案は、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」へ引き下げる▽使途公開が不要な「政策活動費」について、10年後に領収書などを公開する▽政治資金収支報告書の記載について国会議員本人がチェックしたことを示す「確認書」の作成を義務付ける――などの内容。立憲民主党などが求めた企業・団体献金の禁止や、議員が会計責任者と同等の責任を負う制度の導入などは盛り込まれなかった。
 規正法改正を巡っては、自民、公明両党が大枠で合意したが、パーティー券の公開基準額と、政策活動費の使途公開の条文化で折り合いが付かず、自民が改正案を単独で提出。与党案がまとまらないまま、衆院政治改革特別委での審議に突入する異例の展開となった。
 与野党による法案の修正協議で、自民は原案で「10万円超」としていたパーティー券の公開基準額の「5万円超」への引き下げや、政策活動費の領収書などの10年後公開を新たに盛り込むことで公明、維新と合意。修正した改正案を提出していた。【川口峻】

検討・検討・また検討」…自民改正案に野党「単なる先送り」、過去にも実現しなかったケース多く(2024年6月6日『読売新聞』)
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 衆院政治改革特別委員会で5日に可決された自民党政治資金規正法改正案は、本則に政治資金パーティー券購入者の公開基準額の引き下げなどを明記した一方、改革内容の多くは検討事項として付則に列挙した。野党は付則部分について、実現性に乏しいとして批判を強めている。
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衆院政治改革特別委員会で政治資金規正法改正案について答弁する岸田首相(5日午後、国会で)=川口正峰撮影
 本則に盛り込まれたのは、政治資金パーティー券購入者の公開基準額について、現行の「20万円超」から「5万円超」へ引き下げることや、政党から議員に支給される「政策活動費(政活費)」について、「項目別の金額」や「年月」を政治資金収支報告書に記載することなどに限られた。
 政活費の使途を示す領収書などの10年後の公開や、政活費の支出を監査する第三者機関の設置などはいずれも付則に入り、「具体的な内容について検討する」などとした。
 岸田首相は5日の衆院政治改革特別委で第三者機関について、「なるべく早期に設置できるように議論に貢献していく」と説明した。立憲民主党の岡田幹事長は「年内に全部準備を終えることを約束してほしい」と求めたが、首相は「簡単な議論ではない」と難色を示し、岡田氏は「単なる先送りだ」と批判した。
 国民民主党古川元久国会対策委員長も5日の記者会見で「検討、検討、また検討で、全く細部が詰められていない」と指摘した。
 過去の法案でも付則に盛り込まれた項目が結局、実現しなかったケースは多い。
 1994年に当時の細川首相と河野洋平自民党総裁が合意して成立した改正政治資金規正法では、付則に企業・団体献金を5年後に見直すことが盛り込まれた。しかし、5年後の見直しで禁じられたのは、資金管理団体への献金にとどまった。
 2015年に参院選の「1票の格差」を解消するために成立した改正公職選挙法も、付則に19年参院選に向け「選挙制度の抜本的な見直しを検討し、必ず結論を得る」と掲げたが、見直しは行われなかった。

政治資金規正法改正案が衆院を通過 自公維などの賛成多数で(2024年6月6日『NHKニュース』)
 
政治資金規正法の改正をめぐり、自民党公明党日本維新の会の主張を踏まえて新たに修正した法案は、衆議院本会議で、3党などの賛成多数で可決されました。法案は7日、参議院で審議入りし今の国会で成立する見通しです。
政治資金規正法の改正をめぐっては、与野党双方が法案を国会に提出し、自民党公明党日本維新の会の主張を踏まえ党の法案を修正しました。
自民党の法案では、いわゆる「連座制」導入のため収支報告書の「確認書」の作成を議員に義務づけるほか、パーティー券の購入者を公開する基準額を「20万円を超える」から「5万円を超える」に引き下げるとしています。
また、党から支給される「政策活動費」について項目ごとの使いみちや支出した年月を開示し10年後に領収書などを公開するとしています。
6日の衆議院本会議では採決に先立ち討論が行われました。
自民党の山下元法務大臣は「自民党の法案は各党・各会派からの提案を真摯(しんし)に受け止め、事態の再発を防止するとともに政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制しないようにしながら、政治活動の自由と政治資金の透明性を確保する内容だ」と述べました。
賛成した日本維新の会浦野靖人氏は「一定の納得ができる修正ができたことから賛成の立場をとるがすべてを是としたわけではない。極めて小さな変化であり国民の信頼を取り戻すにはまったく不十分だ」と述べました。
反対した立憲民主党の西村代表代行は「企業などによるパーティー券の購入も規制せず政治家個人や政治団体献金する抜け道を残すのが自民党案だ。抜け道だらけの自民党案では、裏金づくりの根絶には全くつながらない」と述べました。
このあと採決が行われ、自民党の法案は自民党公明党日本維新の会、教育無償化を実現する会などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。
立憲民主党共産党、国民民主党、れいわ新選組社民党などは反対しました。
一方、立憲民主党と国民民主党が共同提出した法案などはいずれも否決されました。
自民党の法案は7日、参議院で審議入りし今の国会で成立する見通しです。