訓練中に手りゅう弾爆発 20代の隊員1人死亡 陸自 北富士演習場(2024年5月30日『NHKニュース』)

30日午前、山梨県にある陸上自衛隊の演習場で、訓練中に爆発した手りゅう弾の破片が20代の男性隊員にあたり、死亡しました。別の隊員が投げて爆発した手りゅう弾の破片があたったということで、自衛隊が当時の詳しい状況を調べています。

陸上自衛隊によりますと、30日午前8時42分ごろ、山梨県の北富士演習場で、訓練中に手りゅう弾が爆発して破片が隊員にあたり、病院に搬送されました。

搬送されたのは東京・練馬駐屯地の第1普通科連隊に所属する山宮拓3等陸曹(29)で、午前10時50分に死亡が確認されたということです。

当時は山宮3曹も含め連隊の隊員23人が参加して手りゅう弾を投げる訓練を行っていて、別の隊員が投げて爆発した手りゅう弾の破片があたったということです。

山宮3曹は「射撃係」と呼ばれる立場で、訓練が手順どおりに実施されているか現場で確認を行っていたということです。

「射撃係」は通常、手りゅう弾を投げる隊員の後方で確認にあたるということで、自衛隊の捜査機関の警務隊が当時の状況を詳しく調べるとともに、陸上自衛隊内に事故調査委員会を立ち上げて原因や再発防止策を検討することにしています。

陸上自衛隊によりますと、手りゅう弾で隊員が死亡したのは昭和33年に福岡県久留米市幹部候補生学校で教育中に爆発して教官1人が死亡して以来で、今回の事故を受けて手りゅう弾を使った訓練を全国で当面見合わせるとしています。

自衛隊 訓練中の隊員死亡事故・事件相次ぐ

自衛隊では訓練中に隊員が死亡する事故や事件が相次いでいます。

去年6月には、岐阜市にある陸上自衛隊の射撃場で、実弾射撃の訓練中に隊員3人が自衛官候補生に銃撃され、死傷しました。

先月には、伊豆諸島の沖合で、海上自衛隊の哨戒ヘリコプター2機が潜水艦を探知する訓練の最中に衝突して墜落し、乗っていた隊員8人のうち1人が死亡し、7人が行方不明となっています。

官房長官「哀悼の誠をささげる」

官房長官は午後の記者会見で「亡くなられた隊員に哀悼の誠をささげるとともに、 ご家族にお悔やみを申し上げる。防衛省で原因を究明し、再発防止策を徹底していく」と述べました。

森下泰臣陸上幕僚長「非常に重く受けとめている」

陸上自衛隊トップの森下泰臣陸上幕僚長は記者会見で、「死亡された隊員のご冥福を心からお祈りするとともに、ご家族の皆さまにお悔やみを申し上げる。このような事案は武器を扱う組織として決してあってはならないもので非常に重く受けとめている。原因究明を早急に行い、再発防止を図っていく」と述べました。

その上で「原因は調査中だが、手りゅう弾自体は目標付近に投てきされて、正常に爆発したと聞き取っている。故意に誰かが起こした事案ではないことは確認できている」と述べました。