小林製薬の「紅麹原料」を含むサプリメントを摂取した人に健康被害が相次いでいる問題で、大阪市は29日正午すぎから第3回の対策本部会議を開催し、商品の回収が見込めるのは出荷された約113万個のうち17%の約19万個とした上で、回収の進捗率は83%と明かしました。また、小林製薬の大阪工場を調査した結果、培養室など6か所からプベルル酸を生成することが確認された青カビが検出されたということです。
小林製薬の紅麹を含むサプリをめぐっては、28日までに、摂取した5人が死亡し、入院した人は283人、医療機関を受診した人は1610人にのぼっています。
厚生労働省や大阪市などは、健康被害の原因物質の特定を進めていましたが、厚労省は28日、「プベルル酸」をラットに投与した結果、腎障害を引き起こすことが確認されたと明らかにしました。また、小林製薬の大阪工場と和歌山工場で青カビが採取され、これらの青カビを培養したところプベルル酸が生成されたということです。
さらに、プベルル酸以外にも紅麹原料の有用成分「モナコリンK」に 青カビが混入したことで作られたとみられる2つの化合物が検出されたことも明らかにしていました。
大阪市は「紅麹コレステヘルプ」など3商品についての回収命令を出していますが、29日の対策本部の会議では、出荷された113万個のうち、回収が見込めるのは約19万1000個で、これまでに約15万8000個の回収が完了し、進捗率は約83%に到達したと明らかにしました。6月ごろには90%程度、9月ごろにはほぼ100%になる見込みということです。
大阪市の横山市長は、「回収について流通しているといわれる113万個をゴールに置くのは非現実的」としたうえで、原因の究明についても「国や企業など関係機関と連携して事態の解明に動いていく」と語りました。 また、大阪市と大阪健康安全基盤研究所が、小林製薬の大阪工場内で、カビと思われる汚れが認められる部分をふき取り、研究所で検査をした結果、試験室・培養タンクの洗浄室・培養室など6か所から青カビが検出され、プベルル酸を生成することが確認されたアオカビと同種だったと明らかにしました。