小林製薬(大阪市)が製造した紅麹(べにこうじ)配合サプリメントを摂取した人から健康被害の訴えが相次いでいる問題で、厚生労働省と大阪市は30日、食品衛生法に基づき、大阪市にある同社の原料製造工場(昨年12月に閉鎖)を立ち入り検査した。
この問題で同省が立ち入り検査するのは初めて。31日には工場機能を移転した和歌山工場も検査する予定。品質管理の状況や検査体制に不備がなかったか詳しく調べるとともに、原因物質の解析を進める。
大阪市の工場には午前10時50分ごろ、かばんなどを手にしたスーツ姿の職員約15人が順次到着。無言のまま次々と中に入った。小林製薬の担当者は「誠実に対応し、しっかり協力していきたい」と話した。
健康被害があったサプリは「紅麹コレステヘルプ」。同省によると、小林製薬の検査で青カビ由来の天然化合物「プベルル酸」が製品ロットから検出された。プベルル酸は抗生物質としての特性がある一方、毒性が非常に高く、サプリには通常含まれない。国立医薬品食品衛生研究所はサンプルを分析し、プベルル酸の毒性評価や発生原因のほか、健康被害との関連を調べる方針。
小林製薬によると、サプリ摂取との関連が疑われる死亡者は5人。入院者は延べ114人、通院者と通院希望者は計680人に上り、健康被害の相談は累計で約1万5000件寄せられている。
同社は「紅麹コレステヘルプ」のほか、「ナイシヘルプ+コレステロール」と「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」など約30万袋の自主回収を発表している。