規正法改正案、与野党協議が開始 公明は自民案容認へ 野党とは溝(2024年5月28日『毎日新聞』)

キャプチャ
政治資金規正法改正案の協議に臨む衆院政治改革特別委員会の与野党理事ら=国会内で2024年5月28日午後1時13分、平田明浩撮影
 与野党は28日、衆院政治改革特別委員会の理事懇談会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて与野党が提出した政治資金規正法改正案に関する修正協議を初めて行った。立憲民主党など野党4党1会派は企業・団体献金の禁止や、使途公開が不要な「政策活動費」の禁止などを要求。要求を踏まえ、自民は29日に修正案を提示する方針を明らかにした。公明党は自民の修正案に賛成する意向だ。
 
キャプチャ
 
 特別委では自民案のほか、立憲と国民民主党の共同案、日本維新の会案などを審議。自民は月内の衆院通過を目指していたが、6月4日に衆院通過させる案が浮上している。
 この日の理事懇で、立憲、維新、共産党、国民民主と衆院会派「有志の会」の4党1会派は、企業・団体献金の禁止▽政策活動費の廃止または領収書の全面公開▽議員が会計責任者と同等の責任を負う制度の導入――の3点を共同で要求。これとは別に、政治資金パーティー政治団体間の資金移動に関する規制強化策など各党の要求項目も伝えた。
 一方、公明は自民案について、パーティー券購入者の公開基準の「5万円超」への引き下げ▽政策活動費の使途明細の政治資金収支報告書への記載▽政治資金などを巡り起訴された場合の政党交付金の減額▽施行3年後の見直し規定の追加――の4点の修正を要望した。
 これに対し、自民はその場で回答せず、要望を踏まえた修正案を29日に提示する考えを示した。自民の大野敬太郎氏は記者団に、野党が共同で要求した項目を反映するか問われ、「できる限り、野党の意見も盛り込んでいきたいが難しいところはある」と説明。導入困難な例として企業・団体献金の禁止を挙げた。
 改正案を巡って自民、公明両党は与党案に大枠で合意したが、パーティー券の公開基準額と、政策活動費の使途公開の条文化で折り合いが付かず、自民が17日に改正案を単独で提出した。自民は29日に提示する修正案で、政策活動費について議員が使った時期を収支報告書に記載することや、施行3年後の見直し規定を追加する。公明は修正案に賛成する方針だが、主張に隔たりのある野党の賛成を得るのは困難な情勢となっている。【川口峻、野間口陽、源馬のぞみ】