大相撲・大の里が史上最速優勝 初土俵から所要7場所(2024年5月26日『日本経済新聞』)

 
大相撲夏場所で優勝し、賜杯を受け取る大の里
大相撲夏場所は26日、東京・両国国技館で千秋楽が行われ、新小結の大の里が初優勝を果たした。幕下付け出し初土俵から所要7場所での賜杯獲得は、輪島(元横綱)の同15場所を大幅に更新する史上最速。前相撲から取った尊富士が今年春場所に樹立した初土俵から所要10場所での最速優勝も上回った。

入幕から所要3場所での優勝も1914年夏場所の両国と今年春場所の尊富士の同1場所に続くスピード記録。入幕から所要3場所の優勝は、ほかに鶴ケ浜と佐田の山がいる。

大の里は石川県津幡町出身の23歳。 日体大時代に2年連続アマチュア横綱に輝き、2023年夏場所二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の二所ノ関部屋から幕下10枚目格付け出しでデビューした。身長192センチ、体重181キロ。得意技は突き押し、右四つ、寄り。

 

史上最速優勝の大の里は「右差せば万全」 伸びしろも十分「身体的特徴生かして研究」(2024年5月26日『産経新聞』)

 
初優勝を果たし、内閣総理大臣杯を受け取る大の里=両国国技館

初土俵から所要7場所という史上最速記録で初優勝を遂げた大の里。所属する二所ノ関部屋付きの中村親方(元関脇嘉風)は、取り口の強みを「右を差せば万全。右の腰の寄せ、膝の使い方がピカイチだ」と分析する。そのうえで、「角界入りして1年で『大の里ブランド』が確立された」として、すでに上位力士が、大の里の馬力を警戒するあまり、攻め急いで自滅する場面が見て取れると指摘する。

大の里は守勢に回ることが少ないため、けがもしにくく、さらに活躍していくのではないかと予想している。

伸びしろは大きい。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は、23歳の大の里にとって、この入門からの1年間は土台づくりの段階だったと説明する。

「年6場所で成績を残すための体づくりをしっかりやってきた。まだまだ基礎体力も技術的にも進化していかないといけない」

時折、体が伸び上がるような姿勢になる点については「大の里は現代的な体つき。そこは長所かもしれないし、身体的な特徴を生かせるように研究していかないと」と考えている。(宝田将志)