自民、包囲網崩しに躍起 「言行不一致」立民に照準 修正協議なお道筋見えず〔深層探訪〕(2024年5月26日『時事通信』)

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記者団の取材に臨む立憲民主党岡田克也幹事長=24日午後、国会内
 自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、孤立を深める自民が包囲網の切り崩しに躍起になっている。各党の分断を図るため、24日の衆院政治改革特別委員会で立憲民主党の「言行不一致」を言い立てた。ただ、踏み込んだ改革に尻込みを続ける自民に他党が向ける視線は厳しく、今国会改正に道筋を付けるには自民の大幅な譲歩が避けられないとの見方も出ている。
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衆院政治改革特別委員会で質問する自民党山下貴司
◇パーティー巡り逆襲
 「法律が通らなければ政治資金パーティーをやり続けるのが立民のスタンスか」。24日の特別委で検察官の経験もある自民の山下貴司元法相は、立民の姿勢を詰問調で追及した。
 野党から集中砲火を浴び続けてきた自民はこの日、逆襲に出た。立民は政治資金パーティーを全面禁止する法案を提出しているにもかかわらず、大串博志選対委員長がパーティーを6月に開くことが判明したのがきっかけだ。山下氏は24日、岡田克也幹事長も週明けにパーティーの計画があると暴露し、「パーティー与野党問わず活用されている。責めるつもりはない」と皮肉った。
 岡田氏は直ちに記者団を集め、「法案を出しているからストップした方がいいという単純なものではない」と釈明。しかし、公明党の中川康洋氏は特別委で「法案成立まで(禁止を)守らないという考え方では信用できない」と冷ややかに語り、日本維新の会の金村龍那氏も「(ルールの)持続可能性が危うければ出直すべきだ」と苦言を呈した。
 ◇高いハードル
 「自民に攻め口を与えてしまった」。立民若手は顔をしかめた。ただ、自民が立民批判を言い募る背景に「公明・野党のスクラム」を阻止する狙いがあるのは明らかだ。参院単独過半数を持たない自民は公明と維新の協力を取り付けて規正法改正を図ることを狙っており、政府関係者は自民の動きについて「野党にミシン目を入れる思惑だ」と解説。岡田氏は「立民はおかしいとキャンペーンを打っている」と猛反発した。
 もっとも、公明、維新の取り込みは容易ではない。維新の藤田文武幹事長は22日のラジオ番組で、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開、政策活動費見直し、企業・団体献金禁止の三つを挙げ、「二つ以上のんでもらわないと(いけない)」と条件を突きつけた。
 「二つ以上」は難題だ。自民は24日の特別委で、旧文通費の使途公開について「議論に積極的に参加する」と応じる一方、企業・団体献金の必要性を改めて主張。政策活動費見直しには「慎重に判断すべきだ」との立場を崩さなかった。
 「今国会改正は約束」と明言する首相は24日昼、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長らと会談。出席者の一人は今後の対応を協議したと認めた。自民は週明けから公明や維新との修正協議を始めるとみられるが、公明幹部は同党実務者に「主張を貫き通せ」と指示。維新幹部は「自民との協議は厳しい」と突き放した。
 

岡田、大串氏がパーティー中止 政治改革への影響回避―立民(2024年5月25日『時事通信』)
 立憲民主党岡田克也幹事長と大串博志選対委員長は25日、それぞれ予定していた政治資金パーティーを中止すると明らかにした。立民がパーティーを禁止する法案を衆院に提出していたことから、与野党から整合性を問う声が出ていた。
 岡田氏は27日に大阪府で開く予定だったが、青森市内で記者団に「通常の講演会に切り替え、既に振り込まれた代金を全て返済する」と表明。取りやめる理由として「政治改革法案の審議中で、微妙な時期に悪影響を与えてはいけないと考えた」と説明した。事実上の与野党対決となっている静岡県知事選の投開票が26日に控えていることにも言及した。
 大串氏は6月17日に東京で予定していたパーティーについて「後援会とも相談の上、開催しないこととした」とのコメントを発表した。

パーティー開催中止を 立民・小川氏「道義的責任ある」(2024年5月24日『時事通信』)
 立憲民主党小川淳也政調会長は24日のBS11の番組で、複数の同党幹部が政治資金パーティーの開催を予定していることに関し、「いち早くパーティーをやめる方向に向かうべきだ」と述べた。同党はパーティー開催を禁止する法案を提出しており、「成立していないとはいえ、法案をまとめた側の道義的、政治的責任は既に発生している」と指摘した。
 立民では、安住淳国対委員長が4月にパーティーを開き、岡田克也幹事長や大串博志選対委員長も予定している。与野党からは法案との整合性を問う声が出ている。