自民党派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治資金規正法改正の議論で、政治資金パーティー規制の在り方を巡る野党間の温度差が際立っている。立憲民主党がパーティー禁止を掲げる一方、国民民主党や日本維新の会は開催主体やパーティー券購入者を制限するなどの規制強化策を示しており、主張の違いが連携を阻む一因にもなっている。
立民と国民民主は17日、衆院会派「有志の会」を含む3党派で規正法改正案を共同提出すると決めた。
「政治改革特別委員会の審議を一丸となって進めることができる。非常に大きなことだ」
3党派の代表者による会談後、立民の岡田克也幹事長は記者団にこう語り、連携して改革案を打ち出すことの意義を力説した。
また、自民の規正法改正案が連立与党である公明党の合意を得られなかったことに触れた上で、共同提出の枠組みが「2党1会派という大きな固まり」であると強調した。
ただ、共同提出する法案には、政治資金パーティー規制に関する記載を盛り込むことは見送られた。開催禁止を目指す立民に対し、国民民主は派閥による開催を禁じることなどを訴えており、調整の難航が見込まれたためだ。立民はパーティー禁止に関しては独自の法案を提出することを予定している。
立民が掲げる全面禁止案は極めてハードルの高い改革案といえる。パーティー収入は野党議員にとっても貴重な収入源だからだ。
立民の姿勢に対し、維新幹部は「実際はやる気がないのに『高めの球』を投げて国民にアピールしようとしている」と冷ややかな視線を送る。維新は、企業・団体によるパーティー券購入を禁止し、大口の購入・販売を制限するなどの規制強化策を掲げる。
立民の泉健太代表は17日の記者会見で、不記載事件の経緯に言及して「派閥による政治資金パーティーがきっかけだ」と指摘し、「パーティーがカネ集めの抜け道になっていると言わざるを得ない。元から断たなければだめだ」と持論を述べた。
「高めの球」という批判に対しては「国民からすればストライクゾーンでも、実際にお金を集めている政治家にとっては高めに見える。高めのボールだと言っているのは政治家だけではないか」と反論した。(深津響)