「愛子さま」報道をめぐって宮内庁に緊張感が高まっているのはなぜか(2024年5月21日『デイリー新潮』)

国民の理解や共感
キャプチャ
 天皇皇后両陛下の長女の愛子さまは、5月11日に初めて単独公務に臨まれ、東京・国立公文書館で平安文学に関する特別展をご覧になった。今春、学習院大を卒業され、4月から日本赤十字社に嘱託職員として勤務されるかたわら、公務を担われることも増え、報道される機会も増えつつある。このように愛子さまについては、明るく前向きな話題が多いのだが、宮内庁内ではある種の“緊張感”が維持されているという。一体なぜ? 
宮内庁内の担当者は当然、愛子さまをめぐる報道についてくまなくチェックしています。大学卒業や就職や公務など、さまざまな件について好意的なものがほとんどでホッとひと息ついているということでした」
 と、担当記者。
「とはいえ、気が抜けないことが多いとも聞いています。皇族方にとって、あるいは皇室の安定に国民の理解や共感は不可欠で、それらが無関心や反感に向かわないように注視し続けなければと考えているようです」(同)
相当なプレッシャー
 今でこそ天皇皇后両陛下に対する国民の共感や理解は深いものがあるようだが、皇太子時代の天皇陛下が、「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と、会見でショッキングな発言をされたのは2004年5月のことだった。その翌月から雅子さまは「適応障害」との診断を受けられ、療養生活がスタートする。
「その少し前に当時の宮内庁長官が会見で、2001年に誕生した愛子さまに続く第2子を望むといった発言をしています。国民もそう期待しているという主旨でしたが、雅子さまにとって相当なプレッシャーになったことは想像に難くありません」(同)
 体調が不安定な中で公務への出席の判断も直前まで判然としないことがままあり、「ドタ出(ドタキャンの反対でギリギリにおでましになられること)」などと、その振舞いについて指摘の声が世間からあがることも11度や2度ではなかった。
 愛子さまをめぐっては学習院初等科時代に「いじめ問題」が持ち上がり。学校を休んでいることが明らかになった。雅子さま愛子さまに付き添って登校されるようになり、泊りがけの校外学習にも雅子さまが付き添われることもあった。
逆風が吹くようになった
「そういった行動は学校のルールでは基本的に認められておらず、雅子さまだから許されるのではないかということで、ことごとく世間の批判を浴びました。が、時代が平成から令和へと移ろう中で、そのような厳しい声が小さくなって行ったことも事実でしょう」(同)
 それと入れ替わるようにして、逆風が吹くようになったのが秋篠宮家だった。
「それ以前はどこへ向かわれても歓迎の嵐で、特に佳子さまについてはフィーバーのような盛り上がりがありました。その風向きが徐々に変わり、秋篠宮家へのバッシングが増えるようになり、眞子さんと小室圭さんとの結婚問題が国民の一大関心事となって、大きく取り上げられることになりました」(同)
 先に触れた愛子さまをめぐる報道を細かく分析する宮内庁の担当者の懸念も、まさにその点にあるという。
「何がきっかけでどんな風に世論が変わるのか、かなり敏感になっているということでした。ちょうど今、皇位継承の安定化に向けた議論が与野党間で本格化していることも大きいようですね」
女性皇族が結婚して皇室に残った場合
 与野党間では減少の一途をたどる皇族数の確保について危機意識を共有する一方、女性皇族が結婚後も皇室に残る場合の夫と子どもの扱いなどについては隔たりがあるとされる。
「女性皇族が結婚して皇室に残った場合、その夫と子供の身分をどうするかというのはかなり大きなテーマです。身分の違いが生まれるくらいなら皇室に残らない選択をされる可能性もあり得るのかもしれません」(同)
 共同通信は4月末、天皇陛下のご即位5年を前に実施した皇室に関する世論調査の結果を報じたが、この中で「女性天皇を認める」という意見は90%にのぼったという。毎日新聞が5月上旬に実施した調査でも80%が賛成で反対は10%にとどまったという。
 いずれにせよ、女性皇族への注目度が高まるタイミングだけに、宮内庁内の緊張も高まっているということなのだろう。
デイリー新潮編集部