高速道路の料金、時間帯による変動制に…来年度以降に順次拡大・骨太の方針に明記へ(2024年5月6日『読売新聞』)

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 政府は渋滞緩和のため、高速道路の料金を時間帯などで変える「ロードプライシング」を2025年度以降、全国へ本格導入する方針を固めた。料金は安くする場合、最大で現在の半額とする方向だ。6月に策定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に考えを盛り込む。
 
 複数の政府関係者が明らかにした。ロードプライシングは、21年の東京五輪パラリンピックの期間中、首都高速道路で実施された。
 
 現在は、千葉県木更津市川崎市を結ぶ東京湾アクアライン(全長15・1キロ・メートル)で24年度末までの社会実験として行われている。通行料はETC(自動料金収受システム)搭載の普通車で800円だが、混雑することが多い土日と祝日には、川崎(東京)方面に向かう上り線で午後1~8時は1200円と高くし、午後8時~午前0時は600円に抑えている。
 
 ロードプライシングで時間帯やルートによってきめ細かな割引を行うには、料金所がキャッシュレスのETC専用であることが望ましい。ETC専用化は首都圏などの都市部で25年度頃に、地方で30年度頃までに実現する計画だ。
 
 政府内では、25年度にアクアラインで料金の変動幅を広げる見直しを行い、26年度から順次、路線を拡大させる案が浮上している。
 
 8月頃から国土交通省の審議会で対象エリアなどの制度設計に関する議論を始め、国交省と各高速道路会社などの協議で具体的な料金体系を定める。
 
 一般道路の混雑解消のため、特定区間を多く利用する人の高速道路料金を最大半額にする「定期パス」の制度についても、26年度以降、通勤者を対象に試験導入中の石川、北海道、新潟、山梨、香川、長崎の6道県から全国に拡大させる。
 
 渋滞が緩和されれば、車のアイドリング時間が減って脱炭素につながり、バスなどの公共交通機関が定時運行しやすくなる。骨太の方針には、渋滞緩和と温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の両立を図る観点から、「柔軟な料金体系に転換する」と明記する見通しだ。
 
 岸田首相は4月、斉藤国交相に高速道路の料金体系見直しについて検討を指示していた。