「紅テント」の公演でアンダーグラウンド演劇の旗手として絶大な人気を誇り、数多くの独創的な舞台を作り上げた劇作家で演出家、俳優の唐十郎さんが4日夜、都内の病院で急性硬膜下血腫のため亡くなりました。84歳でした。
唐十郎さんは東京都の出身で、明治大学文学部演劇学科に入学、在学中から俳優として活動し、卒業後「状況劇場」を旗揚げ、1967年には東京・新宿の花園神社で「紅テント」を張って公演を行うなどアンダーグラウンド演劇の旗手として絶大な人気を誇りました。
状況劇場の解散後、1989年には劇団「唐組」を結成、唐さんは劇作家、演出家、俳優としてテント公演を精力的に行い、数々の独創的な作品の上演を続けてきました。
2003年には長崎の諌早湾の干拓問題から着想した「泥人魚」で多数の戯曲賞や演劇賞を受賞しました。
小説家としては、1983年に「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞しています。
唐さんは2021年、現代演劇をはじめとする文化芸術に多大な影響を与えたとして文化功労者に選ばれています。
唐さんは10年ほど前に自宅で転倒して頭を打ち療養を続けていましたが、遺族によりますと、4日夜に都内の病院で急性硬膜下血腫のため亡くなったということです。84歳でした。
唐十郎さん死去、84歳 1日に自宅で転倒、救急搬送 アングラ演劇の旗手、多くの演劇人に影響(2024年5月5日『日刊スポーツ』)
唐十郎さん(2011年11月19日撮影)
唐さんが主宰する劇団唐組の公式ブログで発表され、通夜、葬儀は近親者のみで執り行うという。
唐さんはアングラ演劇の旗手と呼ばれ、状況劇場(88年解散)、劇団唐組を主宰し、屋外に設けた紅テントで、数々の芝居を上演した。「泥人魚」「少女仮面」「唐版・風の又三郎」など代表作多数。多くの演劇人が影響を受けている。
12年に自宅で転倒し、脳挫傷と外傷性脳内血腫で半年間入院。その後は舞台出演もなく公の場に姿を見せることも少なくなっていた。
19年には都内で行われる唐組公演を記念して座談会に出席し「座長の唐十郎です。このたびはこうやってもらい、随分照れるもんで」などとあいさつした。
◆唐十郎(から・じゅうろう)1940年(昭15)2月11日、東京生まれ。63年に状況劇場を旗揚げしたが、1作で解散。66年に状況劇場を復活させ、67年に看板女優だった李礼仙(現麗仙)と結婚。88年に離婚して状況劇場も解散。89年に劇団唐組を旗揚げ。同年、再婚。69年「少女仮面」で岸田国士戯曲賞、82年「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞。12年に明大文学部客員教授に就任。長男は俳優大鶴義丹、次男は大鶴佐助。