宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の宙(そら)組に所属する劇団員の女性(25)が昨年9月に死亡した問題は、上級生らによる女性へのパワハラを認め、謝罪することで一応の解決をみたが、内部ではまだ波紋が広がっている。同組に所属する娘役俳優の彩妃花(あやひ・はな)と葉咲(はさき)うららが突然退団することになったのだ。
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2人の退団は3月31日に、歌劇団のホームページで発表された。 「公式ホームページでは淡々と退団が発表されました。よほどのことがないかぎり、この時期にこういう形で、しかも2人も退団が発表されるのは異例。
まさに〝よほど〟の事態になっているというしかありません」と演劇ライターは話す。
彩妃は、死亡した女性と同じ2017年入団の103期生で、同郷の京都市出身。葉咲は20年入団の106期生。ともに女性が亡くなる直前まで新人公演に向けて練習に励んでいた同世代の仲間だった。
「特に、彩妃は亡くなった女性と高校も同じだったということで、親しい間柄だったとみられています。それだけに、宙組内でも動揺は収まっていないことが十分にうかがえます」と先の演劇ライター。
今回の問題は歌劇団に大きな衝撃を与えることになった。
宙組の公演は現在もなお中止されたままだ。
そんな中、歌劇団側が、遺族側の主張する14項目のパワハラ行為を認め、その当事者たちが謝罪することで、遺族側と合意に至っている。
しかし、村上浩爾理事長は、合意を報告した会見で「劇団がしっかりとハラスメントの教育しなかったことが最大の原因。一人一人に責任を負わすのはあまりにも重い」として、上級生は処分しないという判断を示している。
「結局、遺族への謝罪自体も書面で行うことになりました。しかしパワハラの当事者が責任を問われることなく、謝罪も書面で済ませるという対応が歌劇団内部で禍根を残すことになりそうです。
果たして、これでこれまではびこっていたパワハラ体質が解消されるでしょうか。娘役2人の突然の退団も、そんな宙組内の不穏な空気感を象徴しているといえます。そしてさらに退団者が増えることが懸念されています」と演劇関係者は指摘する。