自民党の裏金問題で議員への処分について連日大きく報じられているが、問題の多さでは維新も負けてはいない。AERAdot.は2月に維新の地方議員の横領事件などについて記事を配信したが、他にも国会議員のパワハラ疑惑やコロナ禍での「県民割」を利用した政治資金パーティーなどが明らかになった。
直近では、日本維新の会共同代表で大阪府知事の吉村洋文氏が、大阪・関西万博に批判的なコメンテーターを“出禁”にするとした発言も物議を醸している。とかく、問題が多い。
(「県民割」で政治資金パーティーは後編で)
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「こんなひどい処分はない」 怒り心頭でそう話すのは、愛知維新の会から3月3日付で除名が確定した、北名古屋市の小村貴司市議だ。
小村氏は以前からAERAdot.の取材に、衆院愛知5区(比例区で復活)の岬麻紀衆院議員から、パワハラを受けていると訴えていた。
■「パワハラなんとかしてほしい」
「2022年3月のことでした。体調不良で街頭活動に参加できないと、岬氏から『何をやっているのか、根性がない』などとLINEで非難され、事務所で会うと罵詈(ばり)雑言を浴びせられ、土下座まで求められました。国会議員とは思えないほど怖かったので、これで済むならと土下座して謝りました」 AERAdot.では2022年5月に岬氏が選挙公報に事実と異なる経歴を記載していたことを報じたが、その当時、小村氏は、 「きっと自浄作用があるはずなので」 と土下座を強要されたことについての記事を掲載しないよう求めてきていた。
しかし、その後も岬氏の“パワハラ”は収まらなかったという。複数の秘書、スタッフが辞め、地方議員に立候補を予定していた女性も辞退していたと小村氏は指摘する。
「岬氏の秘書やスタッフは次々と辞めていき、『パワハラをなんとかしてほしい』と私に訴えてきました。維新の規約では、国会議員や地方議員らの特別党員でないと被害の訴えができないシステムになっています。そこで辞めていった秘書やスタッフの声を集めて、代表する形で維新のハラスメント委員会に告発をしたのが昨年11月でした」 と小村氏は話す。
「妻が身体障害者で、息子も仕事中にケガをしていたので仕事にいけなくなりました。妻はついに要介護の認定をされてどうにもならないときに岬氏の事務所から一方的に解雇通知がきました。ひどいもんです」
小村氏はすぐにでも、維新の調査が始まるのかと思ったが一向に回答がない。今年1月26日になってようやく、維新の弁護士から岬氏のヒアリングの日程調整をしていると聞かされた。
小村氏はさらに回答を待ったが、 「(告発から)3カ月余り経過したがハラスメント委員会は開かれず、愛知維新の会においても何も協議されない。議員のハラスメント問題は私も政治家として説明責任がある。愛知県総支部役員会には失望し、日本の改革及び愛知県の改革はできないものと判断したため、無念でありますが離党の決断をしました」 などとして2月13日に離党届を提出した。
■党の方針に反する行為とは すると愛知維新の会は、「党大会などの決定事項に背くなど、党の方針に反する行為があった」などとして小村氏を除名処分とするとし、2月22日に発表した。役員会は全会一致で除名処分を決めたと公表している。
発表によると、「党の方針に反する行為」というのは、維新の選挙公約であり、公認の必須条件である「身を切る改革」に否定的で、実行の意思がないことだという。 「身を切る改革」とは、維新では地方議員は給与の手取り10%を寄付などにあてると決まりがあり、「誓約書」にサインが求められる。 小村氏の場合、市議の月額報酬約43万円のうち、月に約2万9千円を21カ月間(計約60万9千円)寄付する決まりだったが、26万円で止まっていたという。
これに対し小村氏は、 「これまでも寄付はしていたし、未納分についても事務方にスケジュールを出して合意済みです。維新にいて過去に1円の寄付もせずに去っていった地方議員も知っているので聞いたら、なんらおとがめなしとLINEで返信があった。パワハラの真相がばれるとまずいから、寄付が滞っていることとすり替えて除名にしたのでしょう」 と反論する。
■秘書を通じて回答 そこで、愛知維新の会副代表でもある岬氏に見解を聞こうと取材したところ、秘書を通じて、 「パワハラを訴えられていることは知っていますが、党のほうで審理しているのでしょう。パワハラのようなことはありません。反対に小村さんが除名になっているのではないでしょうか」 とコメントした。
パワハラ疑惑については、調査結果は出ていない。
(AERA dot.編集部・今西憲之) 【後編】石川県の維新支部長「県民割」で政治資金パーティー 全国旅行支援も利用で「考えが甘かった」に続く
今西憲之
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