従来の警戒アラートよりも上位に位置づけられ、健康に重大な被害が及ぶ恐れがある事態を想定している。
近年、記録的な酷暑が列島各地でみられ、熱中症による死亡はほぼ毎年1千人を超える。新制度の周知や発令時の注意喚起を徹底し、効果的な運用に万全を期さなくてはならない。
気候変動適応法が令和5年に改正され、特別警戒アラート新設が決まった。エアコンなどで暑さを回避する手段に乏しい熱中症弱者などを守るためだ。
市町村長はエアコンのある公民館や図書館、ショッピングセンターなどを暑熱避難施設(クーリングシェルター)に事前指定できる。特別警戒アラート発表時に一般に開放する。
発令時には熱中症リスクが高い高齢者や乳幼児に注意を払うべきはもちろん、戸外での活動予定を変更・延期したり、不要不急の外出を控えたりすることも必要だ。さらにエアコンなどを利用できない人はシェルターを積極的に活用してほしい。
全国の市町村などにシェルター設置状況を問うたこの調査で回答の開示に同意した自治体は約1割しかなく、設置率71%もこの自治体内の数字にすぎないからだ。実際には未回答だったり、回答開示を拒んだりした9割の自治体の多くが未設置の可能性もあるのではないか。
シェルターは設置して住民に周知しなければ機能しない。政府は熱中症死亡の半減を目指すとしているが、正確な設置率も明示できないようでは目標達成への覚悟にも疑問符がつく。