【ライブ】韓国 大統領の弾劾求める議案 採決始まる
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾を求める議案を採決する国会の本会議では、14日午後4時半ごろから採決が始まりました。
与党議員は本会議に出席して採決の投票を行うことにしていて、与党から少なくとも8人が賛成に回れば議案が可決されるだけに、与党側の投票結果が注目されます。
【ライブ配信中】
同時通訳:崔銀珠 矢野百合子
韓国の国会では、14日午後4時すぎから本会議が始まり、最大野党の議員がユン・ソンニョル大統領の弾劾を求める議案の提案説明を行いました。
可決されるには、国会議員の3分の2にあたる200人以上の賛成が必要で、与党「国民の力」から少なくとも8人が賛成に回る必要があります。
複数の韓国メディアは、すでに与党議員7人が賛成する意思を示しているうえ、さらに賛成に回る議員が増えて8人を上回り議案は可決される可能性があると伝えています。
与党は本会議を前に開いた議員総会で対応について話し合い、党として反対する方針をあらためて確認しましたが、議員は本会議に出席して投票することを決めました。
先週行われた前回の弾劾の議案は、ほとんどの与党議員が採決の際に議場から退出して廃案となりましたが、今回は一転して与党議員が採決に出席することになり、どれだけの与党議員が賛成に回るか、注目されます。
国会議事堂前 市民が大規模集会
ユン大統領の弾劾を求める議案の採決を前に、ソウルにある国会議事堂の前では14日、大統領の弾劾を求める市民が大規模な集会を開いています。
国会議事堂に続く大通りには参加者が座り込んで「内乱の首謀者、ユン」とか「逮捕しろ」などと書かれたプラカードを掲げたり、ペンライトを持って大音量の音楽にあわせて「与党を解体しろ」などとシュプレヒコールをあげたりしていました。
韓国メディアは、警察の見立てとして20万人が参加すると伝えていて、若者や家族連れ、そして高齢者まで、幅広い年代の市民が時間を追うごとに集まってきています。
子どもと参加した30代の女性は「民主主義を子どもに伝えるために参加した。多くの国民が求めているので、ユン大統領は退陣すべきだ」と話していました。
最大野党の代表 与党議員に採決参加呼びかけ
最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表は14日正午すぎ、記者団に対し「与党『国民の力』の議員たちが国民の代表として与えられた権限をきちんと行使することを願う」と述べて、先週の弾劾を求める議案の採決で、ほとんどが退席した与党の議員に採決への参加を呼びかけました。
2回目の弾劾求める議案の内容は
ユン大統領の弾劾を求める2回目の議案では、ユン大統領による「非常戒厳」が憲法に違反し、内乱罪にあたるとしています。
具体的には「憲法機関である中央選挙管理委員会に違法に侵入しただけでなく、国会議員、政治家、言論人などの不法逮捕を試みた」と指摘しています。
さらに「国憲を乱す目的でその要件と手続きに違反して非常戒厳を宣布し、武装した軍と警察を動員して国会に侵入するなど、国会と国民を脅迫し暴行する一連の暴動を起こすことで大韓民国全域の平穏を害する内乱罪を犯した」としています。
そして「非常戒厳が宣言される前まで国家非常事態と見られるいかなる異常兆候も見られず、必ず『兵力をもって』これに応じなければならなかったいかなる状況もなかった。非常戒厳宣言は憲法と法律が定めた実体的要件を備えていない」としています。
一方で、ユン大統領が「日本中心の奇異な外交政策に固執した」などとする記述は、2回目の議案には入りませんでした。
韓国メディアは、国会審議で行われた関係者の証言やユン大統領の国民向けの談話などをもとに「1回目の議案よりも違憲・違法行為をさらに具体的に盛り込み、弾劾の法的な理論を補強している」と伝えています。
韓国大手メディアの報道は
韓国の複数の大手メディアは14日の朝刊で、与党「国民の力」で、弾劾の議案に賛成する議員が可決に必要な8人を上回る可能性があるという見方を伝えています。
このうち保守系の「中央日報」は「追加で賛成の意思を明らかにした議員はいないが、弾劾案の可決を防ぐラインはすでに崩れたというのが大方の見方だ」と伝えています。
また、保守系の「東亜日報」は「2回目の採決で与党から投票に参加する議員は20人を超える可能性がある。議案の可決は避けられないという観測が出ている」と伝えています。
革新系の「ハンギョレ新聞」は、独自に取材した結果として弾劾の議案に賛成する与党議員の数を具体的に示し「可決に必要な8人を超えた」としています。
一方で保守系の「朝鮮日報」は「弾劾の議案が可決される可能性があるという分析がある一方で、ユン大統領派の議員が『まだ弾劾の議案を通過させるときではない』と総力をあげてほかの議員の説得に入り、可決されるかどうか早急に判断できない」とも伝えています。
大統領の弾劾 過去には
韓国の国会では、大統領の弾劾を求める議案が可決されたことがあります。
2004年には、当時のノ・ムヒョン(盧武鉉)大統領が、大統領選挙をめぐる側近らによる不正資金事件の責任などを理由に、弾劾の議案を可決され、職務を停止されました。
しかし、憲法裁判所は、「罷免する重大な職務上の違反には当たらない」として、棄却し、ノ大統領は職務停止からおよそ2か月で大統領職に復帰しました。
2016年には、当時のパク・クネ(朴槿恵)大統領が、知人による大統領府高官の人事への介入などを理由に、弾劾の議案を可決され、職務を停止されました。
2017年、憲法裁判所は弾劾を妥当とする決定を言い渡し、パク大統領は韓国の大統領として初めて、罷免されました。