安八町で活動する「安八手話サークル」。25年以上の歴史をもつ同サークルには、西濃を中心に町内外から幅広い年代が参加し、手話の資格取得を目指して勉強している。

 19日夜、同町中央公民館での活動に参加したのは、小学校1年から70代までの13人。ろうあ者の会員に教えてもらいながら、五十音を指で表す指文字や日常生活でよく使う単語の手話を練習した。習ったばかりの単語を使って文章も作った。

 サークルでは手話の上達のため、できるだけ声を出さないで練習している。静かだが、わきあいあいとした雰囲気で、時折笑い声も起こる。

 後藤幸さん(48)は2年ほど勉強している手話を継続的に使う機会を持とうと参加している。その姿を見て娘の望花(みはな)さん(10)も4月から始めた。「勉強するのは楽しい。覚えた手話でお母さんと内緒話もできる」

 安八町には手話通訳者がおらず、ろうあ者から通訳の申請があった時には、県聴覚障害者協会に依頼して近隣の市町から派遣してもらう。サークルの岡田辰己代表は「通訳をできる人が限られているのが現状。普段から顔なじみの人ができるようになれば」と学びを後押ししている。

 聴覚障害者の社会参加と健聴者が手話を学ぶ場として1996年に設立。ろうあ者2人を含む23人の会員がいる。お花見などイベントを通して交流を深め、実践する場も設けている。 (松本歩純)