「100年たったら終わりでない」 熊谷市に朝鮮人追悼式の継続要望
毎年9月1日に埼玉県熊谷市主催で開かれている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」について、在日本大韓民国民団(民団)、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)、市民団体の代表者らは19日、小林哲也市長に、市の主催で継続して開催するよう求める要請書を提出した。
【写真】ありがとう!感謝状が贈られた人たち 芸能人や犬も 1923年の関東大震災下、熊谷市内では多数の朝鮮人が殺害された。
追悼式は民間主導で57年から始まり、小林市長の父である小林一夫市政下の95年から、市主催の行事として開かれている。だが、市は2023年9月定例市議会で、今後の追悼式のありかたについて「100年の節目を迎え、市民にとってどのような形が適切なのかという視点に立ち、関係団体と協議する」と、市主催で継続していくかどうか検討する方針を示した。
関係団体とは、市とともに追悼式実行委員会を構成する民団、朝鮮総連、熊谷日朝親善協会、熊谷市仏教会などで、この日の申し入れは、市が主催から降りるのではないかと危機感を持った民族団体などがけん制した格好だ。
申し入れは非公開で行われた。毎日新聞の取材に小林市長は「要請書については内部で協議し、方針が出たら追悼式実行委員会に諮りたい。追悼式をやらないということではない。追悼式のあり方を考えたいということだ」と語った。
朝鮮総連県北部支部の河皓容(ハホヨン)委員長は「100年たったらおしまいではなく、歴史的事実としてきちんと次の世代につないでいくのが行政の役割であり、それが真の友好関係に寄与する」と話した。
【隈元浩彦】
朝鮮人犠牲「正しく語り継ぐ」 大震災98年 熊谷市、2年ぶり追悼
関東大震災朝鮮人虐殺追悼式について(熊谷市)
更新日:2023年11月24日
メールの内容
関東大震災時の朝鮮人虐殺について、日本人として大変恥ずかしく、二度とこのような事件を起こしてはならないと思っています。今年も、9月1日の慰霊祭(追悼式)に参加したいと思いましたが、関係者のみということで参列できず残念でしたが、大原墓地の供養塔にはお参りをしてきました。
来年以降は、以前のように一般市民も参加できるようにしていただきたいと思います。また、本年の市長の式辞を読ませていただきたいと思いますので、メールでお送りください。よろしくお願いします。
回答(令和5年10月17日)
いただきました「市長へのメール」にお答えいたします。
関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式の来年度以降の実施方針は、現時点で決定しておりません。
関東大震災発生から100年が経過しますが、当時の混乱の中、いわれなき流言飛語により尊い命を奪われた朝鮮人の方々を悼むとともに、将来にわたり、国際社会における親善、友好関係を積極的に推進し、人間相互の尊重と理解を深めていくためにも、今後の追悼の在りかたについては、市民の皆様にとってどのような形が適切なのか、関係団体と協議しながら決定してまいりたいと考えております。
なお、今年の「追悼のことば」は、以下のとおりです。
「本日ここに、関東大震災朝鮮人犠牲者の追悼式を挙行するにあたり、犠牲者の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げます。
関東大震災は、百年前の本日、何の前触れもなく突然発生し、東京を中心に街は壊滅状態となるなど、我が国の歴史に残る未曾有の被害を関東地方にもたらしました。
こうした中で災害の渦中に巻き込まれ、混乱に乗じて伝えられたいわれのない流言を信じた心ない人たちによって、罪のない朝鮮人の方々が本市においても犠牲となられたことは、誠に悲惨であり、残念であります。
この悲しい歴史を後世に正しく語り継ぐとともに、御霊に心からの弔意を捧げ、再び過ちを犯さぬことをお誓い申し上げます。
私たちは、こうした痛ましい出来事を教訓として、人権尊重や国際協調を大きな柱とした憲法の精神に則り、アジア地域をはじめ世界中の人々との友好と親善を深め、世界の恒久平和の実現に向けて努力をいたす決意を新たにするものであります。
ここに、犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、併せて犠牲者同胞の皆様をはじめ御参列の皆様方の御健勝と御多幸を祈念いたしまして追悼のことばといたします。」