新制度はその目的に「外国人材の確保」を初めて明記した。日本はこれまで、国際貢献の一環として、日本国内で仕事に必要な技能や知識を学ぶとの枠組みで外国人労働者を受け入れてきた。しかし、これまでの技能実習制度が安価な労働力の確保手段として機能してきたのは周知の事実だ。
人口減少などにより日本の労働力不足は深刻で、外国人労働者の重要性はさらに高まるだろう。しかし国際的な人材獲得競争の激化や円安を背景に、かつてほど外国人が日本で働くことのメリットはなくなっている。受け入れる側と働く側双方の環境を整備し、日本が働き先として外国人から選ばれるようにしていくことが重要だ。
新制度は、一定の技能と日本語を話す能力があり、最長5年働ける特定技能1号水準の人材を3年間で育てるとしている。特定技能制度は、2号に移れば、家族の帯同も認められる。事実上の永住も可能になる。
技能実習制度では、受け入れる側が外国人を安価な労働力としか見なしていないと見受けられる事案が数多く見られた。人権への配慮が欠けていたことは反省しなければならない点だ。
現制度では職場を変えることができず、低賃金などでもそのまま働かなければならないことが失踪の原因と指摘されてきた。受け入れ先だけではなく、制度そのものにも外国人側への配慮に欠ける面があったのは否めない。
新制度は一つの職場で1年を超えて働き、一定の技能や日本語能力を備えていることを条件に、同じ業務分野で職場を変える「転籍」を認める。外国人労働者が働く場所を選べるようになることに加えて、受け入れ側に対しても労働者への待遇の改善を促す効果が期待できるだろう。