急増する梅毒、当事者の20代女性が語る“バラ疹”とまさかの再感染 最新治療の「筋肉注射」在庫切れのクリニックも (2024年4月14日)

感染者が増えているのは東京や大阪といった大都市だけではありません。富山県内でも2011年以降に増加傾向が続いていて、2021年には過去最多の48例が報告されました。これについて富山県衛生研究所の大石和徳所長は「性の感染症予防」が軽視されていると警鐘を鳴らします。

富山県衛生研究所 大石和徳所長:
「最初は、都心だったんです。東京都内とか、主要な都市でそして大阪とかですね、そういったところで梅毒が増えてきたんですが、その後はずっと地方に入り込んでしまい、それでじわじわと増えてきています。いわゆるセーフセックスって言われているコンドームの着用というか、簡単なことができていない人たちが一定数いて、それで広がってるということだと思うんですね。性の感染症予防というのが本当に軽視されがちだなというふう感じますね。いい加減止めないと、大変なことになるという危機意識を持っていただきたい」

取材した女性の周りでも、最近梅毒に感染したという人が多かったといいます。

梅毒に感染した20代女性:
「自分の勤めてたお店は、毎月3人は出ていましたね。基本的に、罹るとみんな一気にいなくなるというか。治療していましたみたいな日記をSNSであげている方とかもいるんで、周りでも最近になってやっぱり多いなっていうのは感じています」

また女性自身もパートナーにうつした可能性があったと話します。

梅毒に感染した20代女性:
「彼氏が突如、あそこが痛いみたいなことを言い出して、病院に行ってもらったら梅毒の履歴が残っていたみたいなことを言ってて、自分がもしかしたら移しちゃった可能性の方が高いかもしれない」

■「梅毒は過去の病気だと…」

富山県内のクリニックでもこれまではなかった梅毒の診察が増えたといいます。女性クリニックWe!Toyamaの産婦人科医、鮫島梓さんに話を伺いました。

女性クリニックWe!Toyama鮫島梓医師:
「一番の地方に広まったきっかけ、私自身はコロナによって風俗産業を都会でやっていた人たちが都会で営業ができないので、地方に移っていったというのも広まった要因かなと思っています。ちょっと前までは梅毒は過去の病気というのが日本での考え方で、私達も見る機会がなかったので、梅毒の患者さんが来ても、それが梅毒だっていうふうに疑わなかったんです。見過ごされてっていうので、感染してからしばらく経過してしまってその間に感染も広まってしまって」

■具体的な症状はー

感染から1年以内の「早期梅毒」と呼ばれる時期は、原因となる細菌が入り込んだ場所を中心に腫れやしこりが現れることが多いといいます。その後、手や足など全身にバラの花のようにみえる「バラ疹」が出るなどさまざまな症状が出ます。

鮫島梓医師:
「一番最初は口腔内や外陰部に結節みたいな塊ですよね。赤く腫れ上がったりとか、潰瘍みたいになったりとか、そういった症状が出ることがあります。それが早期の初期の症状としてあって、そこから1ヶ月経過してくると、今度は全身的に皮膚症状、例えば、手のひらとかですよね。あとは足とかにもポツポツとした発疹のようなものが出ることがありますね。ただこの病気の怖いところは初期のステージは数週間から数ヶ月で症状が消えていくことと、症状が出ても痛みやかゆみなどがないことです。何か出てるけど…という感じで、でも消えていった大丈夫というふうに終わって」

症状が出ても痛みを感じることが少なく、気が付かないことが多いといいます。しかし、治療せずに放置するとー。

鮫島梓医師:
「全身的に広まってしまって、神経や血管、そういったところに病変が進んでしまうと、もう治療しても難しく、不可逆的な、一生影響を与えるような変化っていうのが出ちゃうことがあります。痴呆みたいな状態や手足が動かせなくなったり、勝手に動いてしまったりとか、痺れたり。かなり残酷な状況になってしまうことがあります。
大きな血管とか脳にもいってしまうと、ご自身で自立して生きていくっていうのは難しくなりますし、それこそ命に関わるっていうふうな状態」

また妊婦に感染した場合、お腹の子どもに母子感染して「先天梅毒」になる可能性もあります。先天梅毒になると、皮膚の異常や難聴といった症状が出るおそれもあります。

国立感染症研究所によりますと、2022年と2023年の梅毒の妊娠症例数がそれぞれ前年の1.4倍に急増していて、これまでは年間20例前後で推移していましたが、2023年は37例に急増したということです。

■治療は抗生物質や筋肉注射

鮫島梓医師: 「ペニシリン系の抗生剤の内服薬をまず1ヶ月やってみて治療効果を見ながら必要な場合にはちょっと継続していくという感じですね。早期の段階であれば、薬を飲むことによって梅毒を治すことができます。

そのほか、今は1回の投与で済ますことのできる注射剤『ステイルズ』があります。2019年に国内製造・販売が承認されました。病院に通うことが心配な人は、1回注射を打てばそれでほとんど良くなります」 今回取材した20代女性も、梅毒の治療をステイルズで行いました。

梅毒に感染した20代女性: 「大殿筋、お尻の筋肉に打ってもらいました。打った日に体が熱を持っちゃって、そのときはもう全身バーってバラ疹が出てきて、2、3日で引きました。自分はちょうど注射の治療ができたんですけど、その後、そこのクリニックが、ステイルズ注射の在庫を切らしちゃったらしくて、同じように治療してる人が何人もいたらしいです。

再入荷待ちみたいな感じになっていたらしくて、爆発的に増えてたんだと思いますね」 しかし梅毒は完治したあとも新たに感染することがあり、取材した女性も1年間に2回感染していました。

梅毒に感染した20代女性: 「2022年8月に1回罹かって、それを治して2023年8月にまた感染しました。まさかの再感染で。特に夏になると、外出する機会が増えるんで、なんかちょっと開放的になるというか。夏の方が繁忙期にはなるんで、そこでどんどん感染が広がったのかなと思います。

お客さんにも検査してもらって、幸いお客さんはみんな陰性でした。 私が毎月検査をしてることをお客さんは知ってくれていたので、でもそれでもかかっちゃったら別に仕方ないって言ってくれるお客さんが多かったので、どちらかというと自分の方の心配をしてくれていました。 そういう、病気をもらう覚悟で働いてはいるんですけど、やっぱり将来っていうか一生、検査かかった履歴って残っちゃうんで…。それはちょっとショックだな。もし今後パートナーができたときに、何て言おうかなとかそういうのはやっぱ考えましたね」

感染予防としては、性行為の際に正しく避妊をすることや不特定多数との性交渉を避けることが基本ですが、もし感染したとしても放置せずにきちんと治療をすることが大切だと鮫島医師は話します。

鮫島梓医師: 「梅毒って聞くとやっぱり怖いとは思うんですけどし、逆にしっかりと治療することができれば、本当に普通のお薬で普通の抗生剤でちゃんと治すことができるので、まずは検査をすること、心配だなと思ったときはとにかく検査するということを覚えていてほしいなと思います。梅毒はもう歴史上の病気ではありません」 20代の女性は、これ以上梅毒の感染者を広げたいくないと今回取材に応じてくれました。

梅毒に感染した20代女性: 「梅毒は気づかずに進行しちゃうのが一番怖いですよね。放置しないのは大事です。そうかもって思ったらまず、心当たりがあるなら、検査には行ってほしいなと思いますね。 ちゃんと治るから落ち着いて行動してほしいと思います。検査をして治療をして、お店で働いている人だったら、お店とお客さんにも伝えてもらって、やっぱりもうこれ以上、広げないことが大事かなと思いますね」 自分自身や大切な人を守るためにも感染しないこと、させないことが必要です。 特効薬があるからといって軽はずみな行動や、不安を感じるような性行為をすることは控えましょう。

 

チューリップテレビ

【関連記事】