日米首脳会談、共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」を発表…「ミサイルの共同生産」への協議開催を盛り込む(2024年4月11日)

 【ワシントン=森藤千恵】岸田首相は10日午前(日本時間10日深夜)、バイデン米大統領と米ホワイトハウスで会談した。新時代の日米同盟を目指し、「未来のためのグローバル・パートナー」と題した共同声明を発表した。ウクライナへの間接支援も念頭に、「ミサイルの共同生産」に向けた協議の開催を盛り込み、幅広い分野での産業連携を打ち出した。

【図表】日米首脳が確認する主な防衛協力

 首相は歓迎式典で、「共通の価値とコミットメント(関与)により結びついた両国の協力はグローバルなものとなり、宇宙から深海までをカバーする広さと深さを兼ね備えたものになった」と述べた。その後の会談の冒頭では、「今や日米は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を先頭に立ってリードする立場にある」と語った。

 共同声明では、日本の防衛力強化の取り組みなどを踏まえ、「日米同盟は前例のない高みに到達した」と強調。「戦略的協力の新しい時代」に入ったとの認識を示した。

 日米の防衛産業の連携を促進するため、当局間の定期協議を開催し、優先分野を特定する。ウクライナ支援で米国の防衛装備品の生産体制が逼迫(ひっぱく)していることを踏まえ、「ミサイルの共同生産」を議題とする。地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)や関連部品の生産を日本が担う案が浮上している。

 定期協議では、在日米海軍の艦船やF15戦闘機など米空軍の航空機を日本の民間施設で維持整備することも議題となる。6月までに、艦船の補修に関する初めての作業部会を開く。

 有事に備え、自衛隊在日米軍の相互運用性を向上させるため、それぞれの司令部機能を強化することも表明。航空自衛隊のT4練習機の後継となる「ジェット練習機」の共同開発・生産に向けた作業部会を設置することも確認した。サイバー攻撃に備え、重要インフラの防護で協力を強化することも申し合わせた。

 米国が主導する有人月探査「アルテミス計画」では、米側が、日本人の宇宙飛行士が月面着陸する機会を2回提供する。

「軍民融合」を掲げる中国に対抗するため、人工知能(AI)や量子技術、半導体など先端技術の開発と保護で連携を強化することも盛り込んだ。中国産の「レガシー」(非先端)半導体への依存度を下げるため、価値観を共有する同志国と供給網の強靱(きょうじん)化を進める。

 日本の首相の公式訪米は、安倍晋三元首相以来、9年ぶり。

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