バイデン大統領 日米首脳会談通じ 安全保障で連携強化の考え(2024年4月10『NHKニュース』)

アメリカのバイデン大統領は、岸田総理大臣との首脳会談を通じて、覇権主義的な行動を強める中国を念頭に、インド太平洋地域を重視する姿勢を改めて示すとともに、安全保障分野で日本との連携を一段と強化したい考えです。

バイデン政権は、中東地域での衝突や、ロシアによるウクライナ侵攻が続くなかでも、中国が影響力の拡大をはかるインド太平洋地域が外交や安全保障の戦略上の中心であるという考えを強調していて、岸田総理大臣との首脳会談を通じて、この地域を重視する姿勢を改めて示す考えです。

今回の会談について、バイデン政権の高官は、安全保障や経済分野などを協議するとの見通しを示すとともに、「中国の攻撃的な活動への懸念についても議題となる」と述べています。

中国をめぐって、アメリカ政府は、5月に新政権が発足する台湾に軍事的・経済的な圧力をかけ続けると分析しているほか、フィリピンが実効支配する南シナ海のセカンド・トーマス礁の海域でフィリピン船を妨害するなど、覇権主義的な行動を強めていると懸念を強めています。

こうした状況を受けて、キャンベル国務副長官は、会談で日米両国が防衛装備品などの共同開発・生産で連携を強化することで一致する見通しであることを明らかにしていて、ウクライナ支援で課題が浮き彫りとなった有事の際の武器・弾薬の確保などに対処するため、日本と先端技術や産業分野の協力を進めたい考えです。

また、日本が陸・海・空の各自衛隊を一元的に指揮する常設の「統合司令部」を来年3月までに設置するのにあわせて、アメリカは在日アメリカ軍司令部の機能の強化を検討しています。

首脳会談では、こうした動きを踏まえ、両国の部隊連携をより円滑にするための指揮統制のあり方について協議する見通しで、バイデン大統領としては、安全保障分野で日本との連携を一段と強化し、この地域での抑止力を高めるねらいがあるとみられます。

米下院軍事委民主党トップ“指揮統制のあり方 時間かけ協議”

日米首脳会談では、日米の部隊連携をより円滑にするための指揮統制のあり方をめぐって協議が行われる見通しです。

これを前に、アメリカ議会下院軍事委員会の民主党トップ、アダム・スミス議員がNHKのインタビューに応じました。

アメリカ政府内では、日本が常設の「統合司令部」を来年3月までに設置するのにあわせて、在日アメリカ軍司令部の機能を強化する案が出ています。

これについて、スミス議員は「それこそがわれわれが必要としていることだ。われわれは意思疎通をはかり協力し合える指揮統制のシステムを構築する必要がある」と述べ、機能の強化が必要だという考えを示しました。

指揮統制の統合が進めば、連携の円滑化が見込まれる一方、専門家などからは日本が独立した指揮権を維持できるのかという指摘も出ています。

これについて、スミス議員は「利害のバランスをとる必要があり、時間はかかるだろうが、日米がより緊密に連携することには明らかにメリットがある。それぞれの利益を守りながら連携を強化することは十分可能だ」と述べ、日米がそれぞれの国益を重視しながら、時間をかけて協議を進めるべきだという考えを示しました。