万博開幕後の内装工事を容認へ 協会首脳「万博の歴史」「止めてとは言わない」(2024年4月5日『読売新聞』)

 
工事が進む夢洲の万博会場=4月4日午前、大阪市此花区(彦野公太朗撮影)

 

2025年大阪・関西万博で海外パビリオンの建設が遅れている問題について、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)の首脳ら複数の幹部が、来年4月13日の開幕後も内装工事などの作業の実施を容認する考えを示していることが5日、分かった。産経新聞の取材に対し、協会首脳は過去の万博で開幕後に工事が続いたケースは珍しくないとし、今回の万博で「工事を止めてください、とは言わない」と述べた。

万博には約160カ国が参加を表明していて、参加国が自前で建設する「タイプA」パビリオンの建設が遅れていることが問題視されている。

約50カ国がタイプAを希望しているが、資材価格高騰や人手不足などで建設業者との交渉が難航し、今年3月28日時点で業者が決定しているのは36カ国にとどまる。

開幕日を、海外パビリオンの準備が完了した状態で迎えられるかが焦点となっているが、複数の協会幹部は、過去の万博では開幕後も内装工事などの作業が続いていたと主張。ある幹部は「それが今までの万博運営の歴史」とも語る。

協会首脳は取材に対し「現実問題として、そこ(開幕)の時点で(作業完了まで)数日なのかどれくらいでできるのかだ」と言及。「(開幕後も作業を続けることで)完遂できるとなったときに、止めてくださいとは普通は言わない」とした。

もっとも、開幕まで約1年を残す今の時期に、開幕後の作業継続を容認することについては「問題がある」と強調。一方で、今年10月には建物の工事を終えるよう各国に伝えているが、内部の展示については「各国は試行錯誤しており、スケジュールがずれることはある」とし、内装工事が開幕後も続くことを容認する考えを示した。

タイプAの工事に関するガイドラインでは当初、パビリオンの建設作業完了時期を今年7月としていたが、参加国の状況を踏まえて協会は方針を転換。10月中旬に大型の車両や重機による建築作業を完了させ、内装工事を来年1月中旬までに完了、2月末までに展示を含めたすべての工事を終えるとしている。(井上浩平、黒川信雄)