離党勧告「まるでスケープゴート。不当に重すぎる」安倍派・塩谷立氏、不満あらわ 裏金事件の自民党処分で(2024年4月4日『東京新聞』)

 
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、党から「離党勧告」の処分とされた塩谷立衆院議員は4日、議員会館で取材に応じ「非常に厳重な処分で残念だ」と不満をあらわにした。
自民党の党紀委員会で処分が決まり、取材に応じる塩谷立氏=東京・永田町の衆院第2議員会館

自民党の党紀委員会で処分が決まり、取材に応じる塩谷立氏=東京・永田町の衆院第2議員会館

処分決定前に党紀委員会に提出した弁明書では「不当に重すぎる処分を受けるのは納得がいかず、到底受け入れることができません」と主張。党総裁の岸田文雄首相に対しても「道義的・政治的責任も問われるべき」と訴えた。

◆弁明書で野党やマスコミも批判

塩谷氏は、弁明書で、記者会見や衆院政治倫理審査会(政倫審)などで正直に話してきたと強調し、「野党やマスコミから『虚偽だ。隠している』などと正鵠(せいこく)を失する発言がなされている」と主張。党紀委員会に対し「このような声に惑わされることなく、事実を事実として正確に認定して」と求めた。
安倍派で派閥ぐるみの裏金づくりが行われてきたという見方は誤解だと説明。初当選から30年余り「党の理念に共鳴し、誇りと責任を持って党に貢献し、真面目に政治活動に取り組んできた自負がある」とも訴えた上で、自身への離党勧告も含めた安倍派幹部への重い処分について「まるでスケープゴートのように清和研の一部のみが、確たる基準や責任追及の対象となる行為も明確に示されず、不当に重すぎる処分を受けるのは納得がいかず、到底受け入れることはできません」と抗議した。
岸田首相ら党幹部に対して「このような独裁的・専制的な党運営には断固として抗議する」と迫った。

◆「事実関係をどう判断」納得できず

この日夜の記者団の取材に対しても、処分の基準に対する不満などを訴えた。主な一問一答は以下の通り。
Q 処分内容の受け止めと今後の動きは。
A 非常に厳重な処分で残念だと思っています。私の考えは、弁明書で書いてある通り。今回の処分についてどのような説明をしていただけるのか伺っていきたいと思います。
Q 今の段階で離党する考えは。
A まずは説明をお伺いして、地元の後援会の皆さん方とも相談していく必要があると思ってますから。そういうことをやった上で、結論を出していきたい。
Q 離党勧告に値すると思っているか。
A いや、そうではないと思っています。われわれとしては知りうる限りの事実を伝えて、それが認められないと、処分の基準としても成り立たないんじゃないかと私は思っています。
Q 一番納得していないのはどこか。
A やはり事実関係をどう判断していただいているのか。事実関係というのがしっかりと国民の皆さん方にも理解していただくことが私は必要だと思っています。
Q 岸田首相の処分が出ていないことをどう感じているか。
A 今回関わった派閥の関係のそれぞれの立場の人は同じように処分を受けるということが公平な処分の考え方だと思っております。

◆「裏金」の額は?関わりは?

自民党が2018~22年の政治資金収支報告書を対象に調べたアンケート調査によると、塩谷氏(衆院比例東海)は234万円分を記載していなかった。
塩谷氏は安倍派の派閥パーティー収入のキックバック(還流)の廃止や復活を巡る協議に出席した派閥幹部の1人。2012年1月~18年1月に事務総長、その後は会長代理、22年8月からは座長を務めてきた。
長年、安倍派で要職にあった塩谷氏だったが、「適法でない処理をしていたことは全く認識していなかった」としている。
3月の衆院政治倫理審査会(政倫審)では、キックバックの慣行について「20数年前から始まったのでないかと思いますが、明確な経緯については、承知しておりません」と説明し、「政治資金を自前で調達することが大変な若手や中堅の政治活動を派閥のパーティーを通じて支援するとの趣旨であったように理解している」とも語った。
「裏金なら政治資金ではない。納税すべきではないか」とただされると、「私自身はしっかりとそれを政治活動に使用しておりますので、納税するつもりはございません」と答えた。