教科書に「サザエさん」もびっくり(2024年4月1日『産経新聞』-「産経抄」)

 
検定済みの教科書。自分らしさ、性自認に関する記述(松井英幸撮影)

 

 フジテレビ系の「サザエさん」は今年10月に放送開始から55周年を迎える。3月31日には「前祝い」として1時間スペシャルが放送されたので、本稿締め切りを気にしながら、つい見てしまった。

▼「美味しい歴史の旅」では、カツオの成績の悪さを知った波平の双子の兄、海平から福岡の太宰府天満宮に学業の祈願に誘われて、一家で出かける。そして現地で知り合った大学教授の父娘と、奈良の平城宮跡、宮城の多賀城跡へと全国縦断する。

▼日本の歴史や食文化の話なども盛り込まれていて楽しい。ほかにお花見の場所を探す「ワカメの桜さがし」など季節感豊かなエピソードにほっとさせられた(これでコラムも書ける)。

▼やはり「サザエさん」は日本の家族の象徴だと思っていたら、そうでもないらしい。令和7年度から使われる中学教科書の検定結果を見てびっくりした。技術・家庭(家庭分野)の教科書では家族の「多様性」をことさら強調する教科書が目立つ。

▼申請段階で「様々な家族」と題したページを設けた教科書もあった。女性カップルが血のつながりのない子供たちを育てる物語の絵本「ふたりママの家で」を参考として掲載し、「『ふたりママ』ってどういうことかな」という問いを記した。ペットや趣味のギターも「家族」であるかのような記載もあった。

▼検定ではページ全体として学習指導要領に照らし扱いが不適切との意見がついた。指導要領は家族や家庭の基本的機能を理解させることを挙げているが、家族そのものを考えさせるのは範囲外だという。基本を欠き、何が「多様性」か、子供たちは混乱する。多様性が好きな左派教師も「サザエさん」で日本の良さを学び、新年度に臨んではいかがか。