4月から、社会人として新しい生活をスタートさせる愛子さま。この人生の節目に、皇祖神を祀る伊勢神宮へ報告のため参拝した。参拝服である白いロングドレスに身を包み穏やかにほほ笑む姿は、印象深いものだった。この訪問では、成年皇族として愛子さまのご成長と気遣いが伝わる現場がいくつもあった。
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その場にいた人たちは、愛子さまの「アドリブ」に驚いたーー。
伊勢神宮参拝の翌日の3月27日。愛子さまを乗せた車は、三重県明和町にある「斎宮歴史博物館」に到着した。
歓迎の旗をふる地元の子どもたち。愛子さまは、隣の男性に顔を向け何か話しかけた。うなづいた男性に、もういちど確認するよう目くばせをすると愛子さまはすっと歩き出し道路を渡った。迷うことなく子どもたちが待つ場所へ向かい、ほほ笑みながら話しかけた。子どもたちは、愛子さまが近づいてきてくれたことに驚きながらもうれしそうに顔をほころばせた。
「卒業したよね?大学」 と無邪気な声も飛び出し、愛子さまのニュースへの関心の高さを伺わせた。
現場にいた関係者は驚きを隠さない。もともと愛子さまは、出迎えた博物館の館長らにあいさつをしてすぐに建物に入る予定だったからだ。 「子どもたちとお話になる予定は、ありませんでしたから、現場でカメラを回していた報道陣らも大慌てで愛子さまの姿を追いかけました」
■分刻みのスケジュールでとっさの機転!
天皇や皇族方のスケジュールは、「博物館9時32分到着」といったように分単位で決まっている。ひとつ遅れが出ると、何時間も前から待機していた人たちとの懇談が省略されるなど、予定変更に警備がバタつくこともある。
今回は、伊勢神宮と神武天皇山陵への参拝という通例の日程だけではなく、2日目の午前中に「斎宮歴史博物館」と「いつきのみや歴史体験館」への訪問を入れた。愛子さまの昼食は、2日間とも移動の列車内で食事をとるほど忙しいスケジュールであった。とっさの機転で生まれた子どもたちとのふれあいの場面だったが、愛子さまは自身の予定の進行には多くの関係者が携わっていることも忘れてはいないようだった。
「愛子さまが隣の男性に話しかけていたのは、ちょっとした子どもたちへの声がけでも、周囲に迷惑をかけないか、という確認の意味もあったのでしょう」(前出の関係者)
単独での地方訪問は、初めてであったが、ご自身の行動や立場が与える影響を理解したうえでの判断であったのだろう。
地元では10年前の2014年、12歳の愛子さまが来県して伊勢神宮に参拝したイメージが強いのだろうか。現地で取材したメディア関係者によれば、集まった人びとからは、「愛子さま」という声に混じって「愛子ちゃん」と、成長を温かく見守るような呼びかけも、聞こえて来たという。
■居合わせた鉄道ファンも「珍しい」 場面 人気ぶりを証明
愛子さまの人気ぶりが伝わる場面が、ご訪問の最後にもあった。 日程を無事に終えた愛子さまは、20時半ごろにJR東京駅に到着した。
ところが愛子さまが乗った新幹線がホームに到着すると、愛子さまをひと目みようとホームに人だかりができてしまったのだ。
駅の構内には事前に奉迎する人びとのためにブースが設けられていた。
「構内にいた利用客たちで周辺はあふれかえりブースも意味をなしてなかった。ホームに降りた愛子さまは、予定とは違う別のルートを通って車に乗ったみたいですね。愛子さまに、遠回りをさせてしまったようですね。居合わせた鉄道ファンの方も、皇族方がルート変更するのは、珍しいと話していたほどです」(利用客のひとり)
JR東京駅の改札周辺には仕事から帰宅途中と思しき人たちも集まり、警察官が必死に、「道を開けてください」と交通整理をしていたという。
愛子さまがお住まいの皇居に戻ったのは、21時前。
4月1日からは、日本赤十字社での社会人としての勤務と、成年皇族として公務の両立の日々がスタートする。
ご負担のないよう、ゆっくりと身を休め、春風のような笑顔をまたみせて欲しい。(AERA dot.編集部・永井貴子)
永井貴子
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