「アレ?」(2024年3月28日『新潟日報』-「日報抄」)

 「アレ?」と首をかしげているプロ野球ファンもいるのではないだろうか。昨シーズン、日本一に輝いた阪神タイガースが、オープン戦では最下位に終わった。9連敗を含む3勝14敗1分けと、大きく負け越した

▼昨季は、岡田彰布監督が優勝を「アレ」と言い換えて快進撃を見せた。栄冠が近づくにつれファンも「アレ」と言い出し、流行語大賞にもなった。ところが今春のオープン戦は「アレ」に「?」が付いたような、ふがいない戦いぶりだった

▼岡田監督は常々、オープン戦では勝敗にこだわらない姿勢を見せている。チームの低迷にも「そんなん全然関係ないよ」と、タレントの小島よしおさんのようなコメントで余裕の笑みを見せていた。とはいえ、チーム初の連覇を楽しみにしている虎党の心中はいかばかりか。あすのシーズン開幕以降は「?」が取れた「アレ」に突き進む猛虎に戻れるか

▼スポーツ競技は得てして、予想に反して「アレ?」となる結果がつきものだ。勝負はやってみないと分からない。それがスポーツの醍醐味(だいごみ)の一つと言っていいだろう

▼しかし政治の世界での「アレ?」は困ったものだ。自民党派閥の裏金事件を巡っては「知らぬ存ぜぬ」が連発され、国民は肩透かしを食わされた。「説明責任を果たす」という言葉はどこへ行ったのかと言いたくなる

自民党は来月上旬にも関係議員を80人規模で一斉処分するという。信頼回復への逆転打にしたいようだが、国民の「アレ?」が解消されるとは思えない。