今のテレビ局の中で、女性アナウンサーの層が一番厚いのは、なんといってもNHKだ。和久田麻由子アナ(35)と桑子真帆アナ(36)の二枚看板はもちろん、今年4月から『NHKニュース7』のメインキャスターに抜擢される予定の副島萌生(めい)アナ(32)に『ニュースウオッチ9』のメインキャスターを務めてきた林田理沙アナ(34)と、次世代のエース候補も頭角を現し始めている。
【最強軍団!】民放アナを圧倒…!NHK女子アナ「最強の布陣」…!(写真10枚)
なぜ、民放を圧倒するレベルの女子アナたちが揃ったのか? テレビ局関係者や識者への徹底取材で、最強軍団の実力を分析していこう。 ツートップのうちの一人、桑子アナは各識者から絶賛の声を集めた。
「桑子アナは機転が利くタイプで、彼女がいると番組のトークが盛り上がる。大物芸能人が相手の番組でも物怖じしないので、『紅白歌合戦』の司会は非常に適役でした。『ブラタモリ』が若手アナの登竜門になったのは、桑子アナが輩出されたからという印象もあります。現在担当中の『クローズアップ現代』では打って変わってウクライナに現地取材に行くなど、報道キャスターとしての使命を全うしようとする意志を感じますね」(コラムニスト・亀和田武氏) 和久田アナは来年度から産休に入る予定。局としては大きな穴が開くことに……。
「滑舌(かつぜつ)が良いのでアナウンスが聞き取りやすいうえに、ニュースを読み終えると必ずカメラに目線を向けるんです。これによって、次の話題へとスムーズに移れる。このような細かい所作にも気を配れるんです。
今回、NHKアナの人事が大きく動きましたが、これには和久田アナが産休に入ることが大きく影響していると思います。彼女が抜けることによる大きな穴を誰で埋めるのか、局は次のエースを探しているのでしょう」(女子アナ評論家・丸山大次郎氏) 和久田アナの不在は大きいものの、それをカバーできる人材がNHKにはいくらでもいる。その一番手が、和久田アナから『ニュース7』を受け継ぐ副島アナである。
「大分と名古屋の放送局を経て、わずか3年で東京アナウンス室に配属された。これは異常なスピードで、和久田アナと同じハイペースです。NHKのアナとしては完全に出世ルートを歩んでいます。東京ではスポーツキャスターとしてキャリアを歩み始めましたが、4月からは『ニュース7』のメインキャスターに抜擢されました。原稿を読む能力は高いので、少しハイトーンな声を抑えることさえできれば、もう一段レベルアップできるはずです」(前出・丸山氏)
◆NHKにもいる個性派アナ
次期エース筆頭の下の世代には、個性派のアナたちが顔を揃える。
「中川安奈アナ(30)は、いい意味でNHKらしくない華やかな存在です。一見イロモノに思えてしまいますが、ちゃんと実力を備え、サッカーW杯カタール大会やスポーツ番組のキャスターとして活躍している。彼女はSNSで積極的に自分の姿を投稿していますが、これもいいことだと思います。元テレビ東京の森香澄アナ(28)のように、SNSのバズから若者層の支持を集めることを期待したいです」(芸能評論家・三杉武氏) 中川アナと同期入局の浅野里香アナ(30)は、控えめな庶民派キャラで人気を集めている。
「浅野アナは一度、『ブラタモリ』でタモリさん(78)にタメ口を利いてしまうアクシデントがあったが、結果的に笑いになった。庶民派のキャラで広く受け入れられていた浅野アナなので、こうしたうっかりミスに愛着を抱く視聴者が多かったんです。天然キャラも相まって、芸人とトークを交わすのが得意なタイプのアナウンサーです」(前出・三杉氏) NHKが民放アナに対し格の違いを見せつけるのが、災害発生時の対応だ。1月の能登半島地震では、山内泉アナ(30)が大きく株を上げた。
「普段は冷静沈着な山内アナが、叫ぶような口調で『すぐに逃げてください! 東日本大震災を思い出してください!』と視聴者に伝えた。山内アナに対して一部では批判もありましたが、咄嗟(とっさ)にあのアナウンスができたことが局内では好意的に受け止められています。入局から4年間金沢放送局で勤務した後、いきなり東京アナウンス室に配属され、『ニュース7』や『ニュースウオッチ9』といった看板番組を歴任。報道の本格派として上層部から期待されている若手です」(NHK関係者)
◆期待のサラブレッド
NHKには、大物アナのDNAを受け継ぐ期待のサラブレッドもいる。星麻琴アナ(33)だ。 「星アナは最初、年齢のわりに落ち着いた喋りをすると思っていましたが、元TBSの三雲孝江アナ(69)の長女と知って納得しました。
確実に母親の素質を受け継いでいますよね。母親に比べておしとやかな印象を受けますが、アナウンサーとしてニュースを伝えるべき時と、くだけた話をする際のバランス感覚が非常に優れている。報道でもバラエティでも、多方面で活躍するアナだと思います」(前出・亀和田氏)
学生時代にハープの演奏者として活動した経験を活(い)かして『うたコン』の司会を務めている赤木野々花アナ(33)は、4月から『おはよう日本』で朝の顔となる。
「アニメ声のような、独特な甘い声が特徴です。万人受けする声ではないので、報道番組で原稿を読み上げるよりは、バラエティ色のある情報番組でスタジオを回すほうが得意でしょう。4月からの『おはよう日本』はピッタリですよ」(前出・丸山氏) 充実した30歳前後のメンバーが次々と飛躍していくなか、キャリアを重ねた中堅女子アナが局を下支えする。その代表格が、東京藝大という異色の経歴を持つ林田アナだ。
「林田アナは『ブラタモリ』のアシスタントとして人気でしたが、性格は真面目なので報道向きなんです。4月の改編での『ニュースウオッチ9』から『サタデーウオッチ9』への異動は左遷人事のように思えるが、決してそうではない。現状、土曜日の夜は高島彩アナ(45)が司会を務める『サタデーステーション』(テレビ朝日系)が一人勝ち状態で、局としては一強状態を切り崩したい。その刺客として送り込まれたのが林田アナです」(前出・NHK関係者)
鈴木奈穂子アナ(42)は、偉大な先輩の後釜と目されている。
「彼女は、アナウンサーに厳しい意見を向けがちな主婦層を味方につけて、『ポスト有働由美子』のポジションで奮闘している。サバサバした性格で、テキパキとキャスターをこなす”仕事人”のイメージです。『あさイチ』のメインキャスターである博多華丸・大吉さんの二人とも、テンポの良い掛け合いを披露しています」(同前)
◆育成システムが違う NHKは、いかにして今のような盤石の布陣を築き上げてきたのか。
民放各局との違いについて、同志社女子大学学芸学部メディア創造学科の影山貴彦教授はこう分析する。 「民放とは違い、NHKはまず地方に回される。そこではただ原稿を読むだけではなく、記者と同じような取材やADがするような雑務を任される場合もあります。実地で取材を重ねている分、ニュースひとつ読み上げるにしてもどのようにして視聴者に伝えればいいかをよくわかっているんです」 さらに影山教授は、アナ一人一人の志も起因していると続けた。
「NHKアナたちには公共放送を担っているという自覚と矜持(きょうじ)があります。とくに災害時など、絶対に間違えられない場面での対応能力は非常に高い。大地震のような緊急時には、なんだかんだでNHKを信頼している視聴者は多いですからね。それを自覚しているからこそ、能登半島地震の山内アナのような仕事が可能になると考えられます」 女子アナの質という点では、NHKの天下は揺らぎそうもない。
『FRIDAY』2024年3月29日号より
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