春本番となってきた。「はる」の語源としては、草木の芽が膨らむ「張る」とか、天気が晴れ晴れとする「晴る」、田畑を耕して切り開く「墾(は)る」などがあるとされる。いずれも語感からは新しさや明るさなど前向きなイメージが思い起こされる
▼そんな心弾む春だが、この季節ならではの注意すべきことがあるという。「春の5K」だ。すなわち花粉、黄砂、強風、乾燥、寒暖差。それぞれローマ字表記で頭文字がKとなる五つである▼花粉症はいまや国民病とも呼ばれるほど多くの人を悩ませる。はるか遠方のゴビ砂漠などで吹き上げられ、風に乗って運ばれてくる黄砂も呼吸器系の疾患に悪影響をもたらす
▼春は低気圧が急速に発達して「春の嵐」とも称される台風並みの強風が発生しやすい季節とされる。空気が乾燥しやすく、肌や目、喉などのケアが必要となる。朝晩だけでなく、日ごとの寒暖差が大きい時季でもある
▼気象キャスターの片山美紀さんは著書「気象予報士のしごと」で、春の5Kに、雷、火災、変わりやすい天気の三つを加えて「8K」として紹介している。確かに春は注意しておきたいことが少なくない
▼とはいえ、服装や普段の生活で相応に用心していれば、大ごとにはならずに済むといえよう。きちんと、気を緩めず、気を付ければ、きっと、心地よい春になる。