2~3月に開かれた衆参両院の政治倫理審査会衆参両院の政治倫理審査会には、岸田文雄首相ら自民党所属の10議員が出席した。
ただ、派閥パーティー収入不記載事件を巡る経緯の核心を突く質問に対しては、一様に「記憶にない」を連発。改めて政倫審の限界が露呈した格好となった。
ロッキード事件を機に昭和60年に設置された政倫審は、本人の申し立て以外に委員の3分の1以上が申し立て、過半数が賛成すれば開かれる。国会の証人喚問と違い、偽証罪には問われない。
今回は、塩谷立元文部科学相や西村康稔前経済産業相ら事件の中心となった安倍派(清和政策研究会)幹部も出席。
会長だった安倍晋三元首相が令和4年、還流の慣例廃止を求めたのに安倍氏の死後、継続された経緯に質問が集中した。 塩谷氏は、同年8月の幹部会議で「継続するしかないという状況で終わった」と証言。「結論が出なかった」とした西村氏と食い違いを見せたが、詳細な経緯は不明のままになっている。
還流は20年以上前から続いているとみられ、長く会長を務めた森喜朗元首相の関与の有無も注目されたが、派閥の古参幹部でもある下村博文元文部科学相は「全く承知していない」と述べた。
野党からは「真相解明にはほど遠い」と不満が噴出。立憲民主などは21日の衆院予算委員会理事懇談会で、安倍派幹部ら計6人の証人喚問を求める文書を自民の小野寺五典委員長に提出しており、追及の手はやみそうにない。