岸田文雄首相(自民党総裁)は17日の党大会で、派閥の政治資金問題を巡る安倍派幹部ら関係議員の党処分を巡り「茂木敏充幹事長に結論を得るよう指示した」と明らかにした。「不記載の金額や程度、これまでの役職などの議員歴や説明責任の果たし方など状況を総合的に勘案する」と述べた。
再発防止に向けて「深い反省の上に政治の信頼回復に向け、私自身が先頭に立って自民党改革、政治改革を断行すると約束する」と表明した。
茂木氏「党処分、全員一律にはならず」
茂木氏は党大会後、記者団に関係議員の処分の線引きについて聞かれ「一律に全員同じということにはならない」と語った。「上に甘くて下に厳しい組織であってはならないと考えている」とも話した。党大会で2024年の運動方針や党則の改正を決めた。政治資金問題を受けて「派閥からの脱却」を強調し、党のガバナンス強化を進める。
派閥の政治資金問題が発覚してから初めての党大会となった。24年の運動方針で「解体的に出直す覚悟で不断の改革努力に最優先で取り組む」と明記した。
派閥について「『資金力と人事への影響力』で所属議員を集め、その『数の力』でさらに影響力を持つことを志向する集団」と表現した。そのうえで「これまでの『派閥』から脱却し、二度と復活させない」と記した。
政治資金の透明化へ政治資金規正法の改正を早急に進めるとうたった。政治団体の会計責任者が政治資金規正法違反で逮捕・起訴された場合、国会議員本人も処分できるようにするよう党のルールを変更する。
党大会では政治資金問題を踏まえた党規律規約や党指針「ガバナンスコード」の改正も報告した。
派閥に関しては政治資金パーティーの開催を禁止するとともに、政治資金収支報告書に外部監査を導入することも打ち出した。派閥そのものの解消には踏み込まず、事実上の存続を認める。
憲法改正への意欲も示す。25年が党結党から70年の節目を迎えることに触れたうえで「24年中に党是である憲法改正実現のため、国民投票を通じ、国民の判断を仰ぐことをめざす」と明記した。
自民党は16日、党大会に先立ち党本部で全国の都道府県連幹部を集めた会議を開いた。首相は「命懸けで党再生に努力をしたい」と述べた。出席者によると政治資金問題を巡り地方側から安倍派幹部らの早期処分を求める声などが相次いだという。
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党大会は党の最高意思決定機関で1年に1度開催する。党所属の国会議員や各地方組織の代表者らおよそ1600人が出席した。