岸田首相の「指導力が感じられない」 裏金問題、自民党大会までに国会議員が「処分されなかった」背景(2024年3月17日『東京新聞』)

 
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた党則改正を承認する党大会が17日、開かれる。問題発覚から3カ月以上たっても派閥幹部らへの処分は行われておらず、過去の不祥事と比べても対応の遅さが際立つ。党内からは岸田文雄首相(党総裁)の指導力を疑問視する声が上がる。

◆「銀座で飲んでいた3人」はすぐ離党勧告だったのに…

 「銀座で飲んでいた3人には離党勧告が出された。派閥幹部には離党勧告や除名が相場では」。13日の参院予算委員会立憲民主党の羽田次郎氏は首相に迫った。羽田氏が引き合いに出したのは、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため緊急事態宣言が出されていた2021年1月、松本純・元国家公安委員長ら自民の衆院議員3人が東京・銀座のクラブを訪れた件だ。
 
 
 政府が国民に不要不急の外出自粛を求める中での「夜遊び」に世論は激怒。発覚から6日後、当時の二階俊博幹事長が3氏に離党を勧告、党紀委員会が離党届を了承した。予算委で当時との差を突かれた首相は「(不祥事の)内容はさまざまだ」と言葉を濁すだけだった。
 14日の党政治刷新本部後、幹事の牧原秀樹衆院議員は「3氏(の行為)は違法ではないのに処分は厳しかった」と指摘。裏金問題では既に若手議員が政務官などを事実上更迭されたとして、派閥幹部の処分を急ぐべきだと訴えた。
 党幹部は「党大会前に処分したかったが、首相が『政治倫理審査会を見てから』と言ってしまった」と党内の事情に言及。中堅は「もっと早く派閥幹部を政倫審に出席させていれば今ごろ処分は済んでいた。首相に指導力が感じられない」と不満をあらわにした。(大野暢子、三輪喜人)