「ずっと嘔吐している感じだった」…オーバードーズの「沼」にハマった20代の壮絶体験(2024年5月4日)

■「性行為させてくれたら薬あげる」

ODを巡っては、悪質な性犯罪事件にも発展している。

女子中学生に「性行為をさせてくれたら、ただで薬をあげる」と誘ったなどとして今年1月以降、大阪府警に逮捕され、未成年者誘拐罪などで起訴された大阪市浪速区の無職、浦野那生(なお)被告(31)。捜査関係者によると、浦野被告の自宅には多いときで7~8人のOD目的などの女性が入り浸っており、中には未成年も。援助交際で稼いだ金を浦野被告に渡していた女性もいたという。

浦野被告は薬を「密売人から買った」と説明。府警が入手経路を捜査している。捜査関係者は「自分の欲望のために、最悪の場合死に至るような危険なODを未成年にさせていた行為は許せない」と憤る。

近年東京・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる少年少女らが集まる一角でも、市販薬を配ったり売ったりした男女らの逮捕が相次いでおり、深刻度は増している。

■「悩み抱える若者を孤立させない」

令和3、4年、全国の高校生約4万5千人を対象とした厚労省の調査では、過去1年間に「ハイになるため、気分を変えるため」に市販薬を乱用したことがあると回答したのは1・6%。大麻(0・16%)の10倍にも上った。

ODの蔓延(まんえん)と低年齢化の背景について、大阪・ミナミのグリコ看板下(グリ下)で少年少女らの支援活動にあたる田村健一弁護士(43)は「嫌なことやしんどいことがあったとき、その気持ちを和らげるためにODに手を出してしまう子がいる」と指摘。ODから抜け出すためには「自分が変わりたいと思う気持ちや、人とのつながりを持つことが大切。若者を孤立させない仕組みづくりを官民で進めているが、さらに取り組みを広げたい」と話した。(前原彩希)

 

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