昨年11月に和歌山市で行われた自民党青年局近畿ブロック会議後の懇親会が物議を醸している。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「露出度の高いセクシーなダンスをするダンサーを招き、口移しでチップを渡すなどの行為をしたことが明らかになっています。人気を集めているドラマ、不適切にもほどがあるを地でいくような行動に呆れたという声が噴出しています」。
しかも企画をしたとされる自民党議員がダイバーシティ(多様性)をテーマに掲げての開催だったと説明したのだから、呆れ返る。
「この会に出席したとされるのは自民党の若手国会議員を含む40人。誰か1人くらい、これはおかしいだとか、やばいと言える人がいなかったのか?そもそもダイバーシティとダンサーの関連はどこにあるのか?理解に苦しみます」。
ダンサーに非はない。彼らは仕事としてやったまで。問題があるのは、それをわかっていて招いた側だ。おそらくこの場にいたのは男性議員が大多数。その時点で多様性とは程遠いことも皮肉でしかない。プライベートなら、どうぞご自由にといえるが、これに公費が使われているのだとしたら?とんでもないと思うだろう。今回は、同じようにキャバクラ接待をいまだに続ける会社に不満を持つ30代に話を聞いた。
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仙道孝也さん(仮名・32歳)は、都内の建設関連業に勤める営業マンだ。
「キャバクラ接待なんてもうない、そう思っている人が多いんじゃないですか?でも実際はあります。僕の業界では日常茶飯事と言っても過言ではありません」。
キャバクラだけでなくゴルフ接待も盛んで、社長やその以下複数名は週に1度はゴルフに繰り出していると話す。 「僕の取引先は中小規模の建設会社がほとんど。高級寿司や焼肉に連れていき、終着地点はキャバクラがお決まりのコース。年に数回は風俗行きのコースも。2024年にもなってこれが現実です。本当に反吐が出ます」。
やりがいなんてここにはないと孝也さんは話す。 「続けている理由はただひとつ。給料がそこそこ高いから。仕事のやりがいはありませんね。感謝されるのは、キャバクラに連れて行ったときだけですから。
ただ、上司たちに言わせると美味しい仕事だそう。会社の金で女の子と遊べるなんて、最高だとあけすけに言う上司もいます…」。 肩を落とす孝也さんが語ってくれた内情は、まるで昭和の世界だ。
「普段の仕事は、取引先周りがメインです。次の接待のリサーチもかねています。どんな女の子が好きなのかとか、行ってみたいキャバクラがあるかとか、そんな話。
最近は SNSをやっているキャバ嬢も多いので、そういうのでリサーチをして相手に提案することもあります。喜んで食いついてきますよ」。 往々にしてキャバクラ接待を喜ぶのは、50代以上だという。
「僕が担当している取引先の社長や現場監督の年代がそれくらいということもあると思いますけど、若い世代にとっては、キャバクラなんてもうオワコンなんじゃないですか?部下のなかには、酒を飲めないなんて子も少なくない。その上、キャバクラ接待なんてごめんだと早々やめていくか、部署移動が常。危機管理的な側面もあるのかな?いつどこでバラされるかわからない的な…」。
接待であってもキャバクラに行ったという事実で被るかもしれない被害を懸念しているようにも見える。
「確かに30万円近い領収書を見たときの彼女の表情は、呆れを通り越して軽蔑にも感じられます。いくら仕事だと言ってもなんとなく気まずいムードは避けられません…。
なんだかなと思いますが、借金も少しありますし、ほかにやりたい仕事があるわけでもないので辞めるには至りません」。
【後編】では、さらに闇深いキャバクラ接待のリアルと孝也さんの会社での立場について話を聞いていきたい。
取材・文/悠木 律
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