同性どうしの結婚を認めない民法などの規定が憲法に違反するかどうかが争われた裁判の判決が14日、札幌高等裁判所と東京地方裁判所で言い渡されます。
同様の裁判は各地で起こされ、1審判決はこれまで「違憲」が2件、「違憲状態」が2件、「合憲」が1件と判断が分かれていて、2審では14日の札幌高裁が初めての判断となります。
同性婚めぐる集団訴訟 全国5か所で6件
札幌の訴訟 原告カップルの思いは
札幌市に住む中谷衣里さん(32)と、パートナーの30代の女性は、高校生のころから17年間交際し、3年ほど前から札幌市内のマンションで2人で暮らしています。
6年前には性的マイノリティーの人たちのカップルをパートナーとして事実上、公的に認める札幌市のパートナーシップ宣誓制度で宣誓を行いましたが、結婚と同じように法的な権利や義務が発生するわけではないため、日々、不安や社会の壁を感じる状況は変わっていません。
5年前、弁護団から話を聞いてすぐに原告として訴訟に参加しようと決めました。
中谷さんは「交通事故に遭って軽いけがをしたことがあり、そのとき、もし事故で意識不明になったらパートナーに連絡がいくのか、意識がないときに手術となったら同意書が書けるのかと不安を感じました」と話しました。
ほかにも中谷さんの勤め先の社宅にパートナーが住めなかったり、マンションを購入する際に金融機関で夫婦を対象にしたローンを組むことができなかったりしたということです。
2人は「今のマンションは無理をして一括で購入しましたが、同性のカップルであることがライフプランを考えるうえでかなり障壁になってしまうと感じました」と話していました。
一連の裁判が始まった当初、中谷さんは両親の理解が得られず、匿名で活動していましたが、裁判の意義などを時間をかけて説明し、おととしからは理解を得て実名で活動しています。
中谷さんは「社会的な不平等を解消するための活動はやはり顔や名前を出して、ここで一緒に生きている人なんだよと伝えないといけないと思いました。憲法違反の判決が出ることを望みますし、何より、同性どうしの結婚を認める法律が早くできてくれたらうれしいです」と話していました。
またパートナーの女性は、「1審より、踏み込んだ違憲の判決が出てほしいです。仲間と『一歩進んだね』と喜びたい」と話していました。