参院予算委集中審議 “政治資金の透明性向上が課題”岸田首相(2024年3月8日『NHKニュース』)

 国会

国会は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて参議院予算委員会で集中審議が行われました。岸田総理大臣は政治資金の透明性の向上が最大の課題だとして法改正に向けて議論を進める考えを強調しました。

自民党の宮崎雅夫氏は能登半島地震への対応をめぐり「農林漁業者が意欲を失わず、1日も早くなりわいの再開ができるよう、政府一丸での努力をお願いしたい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「被害状況に応じたきめ細かな支援を加速するとともに漁業者の生活を下支えする取り組みも進めていく」と述べました。

立憲民主党と会派を組む社民党の福島党首は、自民党の茂木幹事長らの政治団体の会計処理をめぐり「政治資金を受け取る『資金管理団体』から別の政治団体に資金を移し替えており、それでは透明性を高める改革は実現できない。制度を熟知した上での脱法行為だ」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「政治団体の性格によって活動の内容は異なり、それぞれの目的を果たすため今の法律の範囲内で必要な資金が移動されている。今後も本人が説明を尽くすことが重要だ」と述べました。

公明党の上田政務調査会長代理は、政治資金規正法の改正をめぐり「最大の不信感は政治資金の使われ方が不透明なことにある。最大の政党である自民党に議論をリードする責任がある」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「政治家の責任の厳格化と外部監査の導入、デジタルなどによる透明性の向上の3点で法改正を行うべきだという議論を進めている。政治資金の透明性の向上が最大の課題だという考え方に基づき議論していく」と述べました。

日本維新の会の猪瀬参議院幹事長は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に震度6弱以上の激しい揺れに襲われる確率を示した「全国地震動予測地図」について「石川県や熊本県で現実には震度7地震が起き、大きな被害が出た。政府の責任をどう考えるか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「都道府県などには注意点を説明している。確率の大小にかかわらず地震への備えが必要である点についてより丁寧な情報発信を行うことが重要だ」と述べました。

国民民主党の礒崎参議院国会対策委員長は、ガソリン価格を抑えるための補助金をめぐり「ガソリン代の激変緩和措置は来月末に終了するとされているが、5月以降の出口戦略はどうするのか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「5月以降の対応について現時点で何か決まったものはない。いずれにしても事業の出口も見据えた形で、国際情勢のほか、経済やエネルギーの情勢も踏まえながら柔軟に対応していかなければならない」と述べました。

共産党の井上参議院幹事長は、能登半島地震液状化被害への対応をめぐり「今回の地震では、地盤が横にずれ動く『側方流動』に伴う甚大な被害が起きた。こうした特徴に即した支援が必要だと思うが、どのように対策を具体化するのか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「道路などの隣接地を含めエリアを一体的に対策を講じる支援措置を強化するよう指示している。各県の被害状況の調査などを続けており、今月中旬に予定している復旧・復興支援本部で成案を得るべく取り組みを進める」と述べました。

れいわ新選組の山本代表は、能登半島地震への対応をめぐり「能登半島の1次産業の火を消さないためにも『なりわい近接型』の仮設住宅などを設置するようにしてもらえないか」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「『トレーラーハウス型』や『なりわい近接型』の仮設住宅は選択肢の1つだと思う。国としても引き続きアンテナを広げてニーズをくみ取る努力を広げていきたい」と述べました。

また、3年前の2021年10月に当時の甘利自民党幹事長に支給された3億8000万円の「政策活動費」の使いみちを問われ、岸田総理大臣は「甘利氏に確認したところ『法令にのっとり適切に使用するよう心がけ、実際にそのように使用している』という回答を受けた。具体的な使途は個人のプライバシーや企業の営業秘密などに配慮しなければならず、明らかにするのは今は控える」と述べました。