給与アップや試験見直しでバス運転手確保 横浜市交通局「最重要」(2024年2月25日『毎日新聞』)

横浜市営バス=横浜市中区で2006年9月、池田知広撮影拡大
横浜市営バス横浜市中区で2006年9月、池田知広撮影

 バス運転手の拘束時間が制限される「2024年問題」を4月に控え、横浜市交通局が人材確保に躍起だ。給与を引き上げ、採用試験を見直し、再就職の道も広げる。交通局の担当者は「人材確保は市民の足を守るための最重要課題」と話す。

 厚生労働省の「自動車運転者の労働時間などの改善のための基準」(改善基準告示)で、4月から、バス運転手の年間拘束時間は「3380時間」から「3300時間」に制限される。1日の休息期間も「継続8時間」から「継続11時間を基本、下限9時間」に見直される。

 交通局によると、採用を巡る環境は年々困難になり、人材確保は「最重要の経営課題の一つ」。市営バスの運転手の応募者は新型コロナの感染拡大で民間が採用を控えた2020年度は384人だったが、民間が回復期に入った22年度は290人、23年度には191人と大幅に減り、年間採用予定の約60人に達しなかった。

 そこで交通局は、初任給を過去最高の月額1万6000円以上引き上げるなど、給与表を改定してベースアップ。入局5年目のバス乗務員(配偶者あり、子ども1人)の年収は約50万円増の約530万円になるという。

 同時に、採用1次選考で、公務員型の一般教養と作文の試験を廃止し、民間企業が取り入れている適性検査(SPI)を導入する。2次の面接、運転実技、身体検査は現状と同じだが、民間と併願しやすい選考にして応募者増を狙う。

 家庭の事情などで退職した交通局の元職員に、希望条件や業務の個別相談に応じた上で採用選考に臨んでもらう「ウェルカムバック制度」も導入する。

 給与改定や選考見直しなどは、バス運転手だけでなく、整備員や地下鉄の職員、保守技術員にも適用する。交通局は「考えられる手は打った。応募者増につながることを期待している」と話す。【岡正勝】