自律神経の専門家が教える「健康、お金、孤独」の老後不安を解消するコツ(2024年2月25日)

一番重要な対策は「運動」

自分の顔を鏡で見る

自律神経のためにも、朝は漫然と過ごさないことが肝心。

小林教授は、「朝をどう過ごすかで1日が決まる」と述べており、起きたら部屋の空気を入れ換え、思いきり伸びをするといった健康習慣をルーティン化するようアドバイスする。

その1つに「自分の顔をじっくり鏡で見る」というのもあって、以下のように説明されている。

<ヒゲを伸ばしっぱなし、髪はボサボサ、鼻毛も出ている……。そんな状態では、どこかに出かける気力もわきません。家の中でダラダラ、ゴロゴロする生活になってしまいます。
人の目を気にしなくなったら、それが老後の始まりです。
みなさんは最近、自分の顔を鏡で見ていますか?(本書109pより)>

鏡を見れば、いやおうなく身だしなみを気遣うようになるし、顔の表情にも気を配るようになる。ふだん鏡を見ることの少ない男性なら、なおさら身につけたい習慣だ。

さらに、家の中では朝から「きちんとした服」を着ておく。かしこまった服装にする必要はないが、そのまま電車に乗って、どこかで買い物ができるぐらいの身なりにはしておきたい。服の色は、交感神経を活性化する明るめの色とし、靴もみがいてきれいにしておく。

そうしておけば、外出するつもりはなくても、どこかに出かけたいという気持ちもわき、まさに「一石三鳥」の効果が期待できる。

免許返納を何かを始めるチャンスと考える

小林教授は、ゴロゴロ生活の脱却とともに、人から「求められて生きる」ことも目指すよう説く。

現役時代は、職場では周囲の仲間から、家庭では家族から求められていたが、定年後は何もしないとそういう機会がなくなってしまう。それはなにも賃労働である必要はなく、町内会の活動や孫の世話など、ささやかなことでまったくかまわないという。

また、免許返納のような一見してネガティブな出来事も、新しいことを始めるチャンスと捉えることもできる。今までは近い場所でも車を使っていたのが、歩いて行ってみることで、「こんなお店があったのか」など新たな発見もあるし、健康にもいい。

シニアになれば、できなくなることはどうしても増えてくる。しかし、それで落ち込むのではなく、新しい体験をする機会が開けたと気持ちを転換することで、老後の不安も軽いものとなるはずだ。

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本書で語られる自律神経の視点からのアドバイスは、どれも明快で実践しやすいものばかり。老後の不安に悩んでいるのなら、簡単にできるものからトライしてみるといいだろう。

【今日の健康に良い1冊】
『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』小林弘幸著 定価924円 朝日新聞出版

文/鈴木拓
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagramに掲載している。

サライ.jp

 

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